面白い、の一言だけで済ますテーマでも中身でも無いが、まず面白い。
トランスジェンダーの主人公が、育児放棄にあっていた親戚の少女を預かるという物語で、冒頭から二人のやり取りなどに気持ちがザワつき、そこからの予想の斜め上を行く展開に引き込まれる。少女役の新人・服部樹咲が粗削りで無垢だが異様なほどの存在感があっていい。
対する草彅剛は熱すぎるほどの熱演で、それゆえ或る瞬間での冷めたギャップがシーンとして素晴らしいと感じた（これ以上は言えないが）。それにしても、よくぞここまで演じきったとも思う。
二人以外の演者もいい。個人的には、真飛聖の佇まいがバレエ教師らしくて好感持てた。そして少女の友達役の上野鈴華も。
欲を言えば、終盤もう少し短くても良かった気もするが、演技の間や余韻もあるので、人それぞれだろう。カメラや照明、音楽にとどまらず、美術と衣裳なども素晴らしい。
