松井の天井直撃ホームラン

サイレント・トーキョーの松井の天井直撃ホームランのレビュー・感想・評価

サイレント・トーキョー(2020年製作の映画)
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☆☆☆★★

原作読了済み。簡単に。

私の採点を見て貰うと、一見は普通の出来に思えますが。原作を読んでいる人なら、この採点がいかに高いかが分かると思います。
それでいてこの採点止まりでも有る、、、って言う事はつまり…



どんなに頑張ったところで、原作自体の中身が、、、あの…その…だ、か、ら、、、って内容なので、如何ともし難い、、、って言う💦




原作では読者をミスリードへと誘いかける描写がかなり多い。
それだけに、読書時に於ける文字を脳内へと変換し。その後に(映像を想像させるまでの)タイムラグがある。
しかし映画だと、当然の様に想像を促す文字ではなく。観客はその映像を直接ダイレクトに観ては脳内に運ぶ。

特に、冒頭の場面。
映画では、有る人物は横を通る人物をさりげなく見つめる描写が映り。その時点では「この2人には何かが有る!」…と言うのを、ハッキリと描写している。
(まあ、実際にそうなのですが)
しかし原作だと、その様な描写は無く。寧ろこのベンチに座った人物は、《無差別に選ばれてしまった人》となっていた。
それだけに。物語が進むにつれて、作者が作ったと言えるミスリードが、途中から矛盾だらけにしか読んでいて感じられない、、、って言う杜撰さが浮き彫りになっていた。

更に言ってしまうと。原作は、最後の数ページまで犯人が一体誰だったのか?を一旦ボカしていた。
一応は、2時間ドラマでは定番の《崖の上の告白》に近いレストランでの場面が有るには有るが。読んでいて「コメディーかよ!」と思ってしまうくらいに、〝 何だこれ 〟感が強く、、、

大体、犯人に1番近いと思われる人物は。絶えず不審な行動しか起こさない為に、逆に読者からは「どう見てもコイツじゃあないな!」…って言う予想を、読者に対して与えてしまっているし。ちょこちょこっと登場する脇役の脇役…みたいな人物との会話や描写等は、最終的に考えると「全然意味なかったじゃないか!」…とすら。
そんなこんなと、穴だらけ(あくまでも当社比💧)な原作を相手にしているのを考えると。この映像化はなかなか頑張っていると思って良いか…と。

ここだけの話ですが。犯人は〝 平和呆けの激しい日本国民 〟に対して!

「本当の戦争とは何か?」

…を、教えてやる!

と言いながら、解除コードに託されているメッセージにせよ。《愛する伴侶の真の願い》をすら無視して大量殺戮に至る行動は、最早この原作の杜撰さの極み、、、とすら(ㆀ˘・з・˘)

そして最終的に明らかになるのは、実はモ◯ホ◯だった…と言う真実ʅ(◞‿◟)ʃ

バカだろコレ、、、としか!

そんなこんなで杜撰な原作を。映画化では、捜査側・自堕落な若者達・喧騒渦巻く渋谷の街中・爆発で蠢く悲惨な光景にパニック描写等。

更に言えば、1番大切とも言える…

〝 今の政治状況を風刺しているかの様な《戦争・軍隊》に関する、日本の戦前の軍国化への加速度が増して来ている現状に対しての警告 〟

これが何より、原作を読んでいると表面的にしか感じられない、、、と言う辺りはもう( ˙-˙ )

映画本編では、その辺りのメッセージ性はある程度は伝わって来る様な作りにはなってはいました。
(だからこそ、犯人側の殺戮を起こす行動原理は。全くもって意味が分からないのですが)
他にも、原作には描かれてはいない描写・台詞等を加え。ある程度の大人の鑑賞に耐えられるだけの、エンタメ性を含めた作品として製作されていたとは思います。
尤も、原作にも無い部分として。西島秀俊の過去に起こった事件は何だったのか?等。逆に描き過ぎてしまい、結果的には疑問点の残ってしまっている描写の回収がされていなかったりしていますが(・・?)

そんなこんなで(3回も使ってしまった)貶しに貶してはいますが。あまり細かい事を気にせずに、何も考えずスクリーンを見つめているだけならば。ある程度の時間潰しにはなるとは思いますけど…と。

あ〜!いかん、いかん!
1番大事なので最後に記しておかないと!

広瀬アリスめっちゃいいっス。
原作だと単なる脇役でしかないんですけどね〜。

2020年 12月4日 TOHOシネマズ西新井/スクリーン9