daiyuuki

ファーストラヴのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

ファーストラヴ(2021年製作の映画)
4.7
川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜(芳根京子)が逮捕された。殺害されたのは彼女の父親。
「動機はそちらで見つけてください」と話す容疑者・環菜の挑発的な言葉が世間を騒がせるなか、事件を取材する公認心理師・真壁由紀(北川景子)は、夫・真壁我聞(窪塚洋介)の弟で弁護士の庵野迦葉(中村倫也)とともに彼女の本当の動機を探るため、面会を重ねる。
しかし、環菜の供述は二転三転し、由紀たちは翻弄され、真実が歪められてゆく。
そんななか、由紀は環菜にどこか過去の自分と似た何かを感じ始めていた。
やがて、自分の過去を知る迦葉の存在と、環菜の過去に触れたことをきっかけに、由紀は心の奥底に隠したはずの“ある記憶”と向き合うことになる……。
島本理生の同名小説を映画化。
「人魚の眠る家」「望み」に続いての堤幸彦の社会派路線サスペンス映画。
画家である父親を殺害した疑惑をかけられた聖山環菜。
父親の忌まわしい記憶を隠してる心理師の真壁由紀。
彼女たちの共通点は、「初恋」に傷付けられた記憶。
取材相手と取材する心理師として面会を重ねる中で明らかになる、自分を傷付けた男の欲望に満ちた目線と信頼できる人に裏切られ見捨てられた記憶。
真壁由紀と聖山環菜が、封じ込めている記憶と向き合い信じられる相手に受け止められることでトラウマから解放されていく痛切なヒューマンドラマ。
北川景子と芳根京子のヒロインの苦悩に肉迫した熱演、ヒロイン愛し支える男性を演じる中村倫也と窪塚洋介の抑えめな演技、女性を性の対象として見る男性の欲望に満ちた目線や触り方がいかに異性を傷つけるかという男の異性に対する性的搾取の闇、パートナーとの関係に必要なのは自分の痛みを分ち合える信頼関係と相手を思いやる優しさと痛みなどを含めた自分の全てを受け止めてくれるパートナーの大切さが、痛切に観る者に伝わるヒューマンサスペンス映画。
「辛いことから救ってくれたのは、血を流すことでした」 
daiyuuki

daiyuuki