2023_045
人は嘘をつく
人は信じる
人はまた嘘をつく
あぁとんでもないものを観た。これはもう大傑作だ!ありがちな社会派作品かと思っていたら、それだけではなかった。
ドラマだ。圧倒的な人間ドラマ。感情を昂らせたり、声を荒げることもなく、淡々と人間の嘘と真実を映し出す。音楽で観客の感情をコントロールしたりしない。ドキュメンタリー風ではあるものの、これはドキュメンタリーの素材となるものを意識しているのではないか。編集するのは視聴者(観客)となるような作り。
ドキュメンタリー制作者である主人公の由宇子は、嘘を嫌い、嘘と向き合う、真実に近づこうとする。
しかし、彼女は知っている。カメラの前では人は嘘を吐くということを。真実を語らないことを。自分を演じるということを。ドキュメンタリーは嘘であるということを。(それを示すシーンで思わず『これはスゲェ』と声が出てしまった)
※振り返るとカメラのオン・オフ、隠し撮りなども含めて、周到な伏線的シーンが序盤から多数。これはドキュメンタリーの否定というよりはカメラと人、撮られる側と撮る側の構造を示唆していると感じた。
そして、それ故に、彼女は人を信じることを信じられなくなる。情報を操る側なのに、情報に操られる。どちらかの側ではない。どちらにも由宇子はいる。
だから天秤なのか。
ほんの少し、人を信じる心が重ければ。その天秤の下す結果は違っていただろう。
あらゆるケースで諸悪の根源はほぼほぼ男性社会の男性性であることも訴えている。やはりこういった社会は変わらなければならないのだ。
上手くまとまらないが、とにかくとんでもない映画に出会ってしまったという気持ち。
今更ながらですが超オススメさせていただきます!