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アントマン&ワスプ:クアントマニアのTKEのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

アントマンシリーズ3作目にして、新ヴィランである征服者カーンのスクリーンデビュー作品。

カーン自体は別存在がドラマ「ロキ」で出ているようですが、そちらの方は未見なのでコミック知識のみで観賞。

話の辻褄合わせ的にはよかったけど、色々と消化不良というか、イマイチのめり込めなかったです。世界観とかはスゴい好きなんですけど。

以下、ネタバレあります。



サノスを倒し、宇宙の危機を救ったことで一躍有名になり、自叙伝を出すほどになったアントマンことスコットは、ピム博士&ジャネット夫婦と相棒のワスプことホープ、娘のキャシーと共に暮らしていた。
ところが、キャシーは己の正義感故にたびたび問題を起こし警察の世話になる始末。

そんなある日、キャシーはジャネットが30年間閉じ込められていた量子世界の地図を作成するための人工衛星を作成し信号を送るが、何者かに干渉され、スコット含めその場にいた5人とも量子世界に吸い込まれてしまう。

そこは、かつてジャネットが封印していた征服者カーンが支配する帝国とレジスタンスが闘う、時間を超越した世界だった。


…と、ジャネットは量子世界で30年の間何してたのか?ということが明かされます。

どうやら性格や能力が違うカーンがあらゆる次元にいるらしく、今回のカーンは「マルチバース世界を行き来し、その次元を時間ごと消し去る」という、ギャラクタスもビックリな能力の持ち主のようで、他世界のカーン達に危険視されており「時間も何もない外の次元=量子世界」に追放された…ということでいいのかな?

そして、そんなことは知らないジャネットはカーンが脱出するための船のコアを直してしまう。
いよいよ船にコアを取り付ける際にその正体と目的を知ってしまい、結果、ピム粒子によってコアを巨大化させることで使用不能にした後は逃げ回っていた…とのこと。

とんでもない化け物の封印を自分のせいで解き放つことになってしまうかも…という負い目から、すべてを忘れ去りたいということで黙っていたらしいのだが、ことここに極まったら黙ってないで話してくれよ!

いきなり量子世界に吸い込まれたピム博士もホープも混乱している状態なのに事情を知ってるジャネットは「今は話している暇はないわ!」とか言いながらガンガン先に進むのは本当にどうかと思いました。
こういう時こそ情報を共有して精査すべきなんじゃないの?


キャシーもキャシーで、目の前でレジスタンス達とカーン(の部下)達の戦いが始まったら「ヒーローは助けなきゃ!」とスコットの静止も振り切って暴れまわる。
スコットは「俺たちの戦いじゃない」と言っているがまさにその通りで、事情も知らない、情勢もわからない戦いに無闇に首を突っ込むことは危険極まりなく、アベンジャーズ同士の戦いを経験しているからこその言葉なのに、とにかく言うこと聞かないキャシーにイライラしてしまった。

結果的にカーン達の目的がコアを元に戻すためのピム粒子を持つスコット達だったため、キャシーの選択は間違ってはいなかったものの、初っ端の警察沙汰の件といい、なんでこんな子になっちゃったの…感がスゴかった。



作中の見せ所の1つであろう、シュレディンガーの猫状態でのあらゆる可能性が発現する空間は、なんとなく分かるものの深く理解しようとすると現在の常識では処理できず、それをなんとか映像化したというのは非常に迫力のあるものでした。
そこでのスコットは全てが本人であり、全てが別の意思を持っているにも関わらず「キャシーのため」という思いだけは全員共通していたというのは胸熱でした。

それに連なるように最終戦にてピム博士が自分の蟻と共に行進するシーンはまさに「蟻映画」と言うにふさわしい迫力です。



満を持して登場したモードックがあまりにも活躍していないのと、最後にいきなりヒーロームーブかましてきた時は「なんなの、コイツ…」と思ってしまいました。
そこに至るまでの触れ合いとか葛藤とか無さすぎたせいで、全く感情移入出来ませんでした。メチャクチャもったいない使い方だったと思います。

カーンも能力の割に強いのか弱いのか分かりづらく「俺はいくつもの次元でアベンジャーズを葬ってきた!」と言ってはいましたが、うさんくさすぎる…。



今作はアクション映画というよりは親子愛がテーマだった印象が強く、それが自分がイマイチ燃え上がれなかった理由なのかもしれません。

カーンは戻ってくるそうなので、今後はあらゆる次元のカーンが暴れるのでしょうが、それこそ無限にいそうなのでいったい誰がどうやって戦うのでしょうか?
楽しみなのですが、壮大すぎて大味にならないか心配です。



最後、ちょっと混乱したのが、今作は極限まで小さくなって最終的に量子世界に来たから、スゴい小さな世界の話かと理解していたのですが、ワープゲートみたいなのをくぐったら普通の世界に出現していたのはどういうこと?

くぐった瞬間デカくなったの?そもそも量子世界でも等身大だったの?次元も時間も歪んでるからその辺はなんとかなってるの?

凡人の頭ではとてもではないですが、理解出来ませんでした。
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