Tラモーン

鬼手のTラモーンのレビュー・感想・評価

鬼手(2019年製作の映画)
3.7
『神の一手』からずいぶん間が空いちゃったけどスピンオフ!久しぶりのバイオレンス・エクストリーム囲碁アクション!


主人公のグィス(クォン・サンウ)は父を亡くし、母に捨てられ姉と2人で貧しく暮らす少年。囲碁が得意で大人にも勝てるほどの実力を持っていた。しかし、家事手伝いで出入りしてきたプロ囲碁棋士のドギョン(チョン・インギョム)に姉がレイプされ、自ら命を絶ってしまう。天涯孤独となったグィスは1人ソウルへ乗り出し、そこで師匠となる賭博囲碁棋士のイルド(キム・ソンギュン)と出会う。


うーん、バカバカしくて最高にエクストリーム(褒めてる)‼︎
スピンオフ元の『神の一手』と比べるとハチャメチャ加減はやや抑えられ、王道復讐モノとしてまとまってはいるもののどう考えたってツッコミどころが多過ぎる。それをクソ真面目にキチンとエンタメノワール作品に仕上げてしまうのが韓国映画の凄いところだったりする。

冒頭の主人公のお姉ちゃんが乱暴されるシーンは本当不穏で嫌な感じ。だけどあらすじ読んでないと???ってなるとこがあるから変に時系列ズラさなくてもよかったかも。まぁ想像ついちゃってつらいんだけど。

キム・ソンギュン好きとしては囲碁荘で登場したときはキター!ってなった。山寺での修行もハッキリ言ってバカっぽいんだけど少年漫画的に熱く見せちゃうのは上手いよなぁ。暗闇に閉じ込めて頭の中で囲碁打たせるとか、一局打つごとに石積むとかマンガかよって笑。でもキム・ソンギュン演じるイルドの父親代わりのような優しい表情が観られて満足!あっさり退場したのは悲しかったけどね…。

青年に成長したグィスが急にバッキバキのクォン・サンウになってたのは笑ったけど笑。なんで囲碁と一緒に肉体も鍛えられてんねん笑。

そっから占い師と腕切断を懸けて透明な碁石で囲碁打ったり、師匠の仇②の顔面をコンクリ塀にガリガリ押し付けて削ったり、師匠の仇①と線路の上で土地権利者と女と命を懸けて囲碁打ったり、もう一回師匠の仇②を碁石パンチでボコボコにしたり、ターミネーターばりの溶鉱炉で硫酸ドキドキ盤で囲碁打ったり、もうめちゃくちゃなのよ。何言ってんの?と思った方は是非観てください。全部真面目にやってるので。

そして圧巻のラストは姉の仇レイプ魔棋士を含むプロ棋士100人との同時対局(レイプ魔棋士の娘を拉致監禁セットで)!

"死"っておい凄いな。
強姦野郎の腐れ外道にもちゃんとプライドがあって安心したわ。

ツッコミどころまみれなのにスッキリ爽快なラストシーンで清々しい気持ちになっちゃうから不思議。


相棒でマッチメーカーのトンを演じたキム・ヒウォンのコメディリーフや、師匠の仇役のホ・ソンテといった脇役勢の活躍が少年漫画的なストーリーに花を添えているのもかなり良い。

いやでもエンドロールのキム・ソンギュンの父親のような優しい表情最高だわ。

"世の中も対局も心の目で見ないと読めないんだよ"
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