Finn

エルヴィスのFinnのレビュー・感想・評価

エルヴィス(2022年製作の映画)
3.6
The BeatlesやQUEENなど多くのミュージシャンが影響を受けた"キング・オブ・ロック"ことエルヴィス・プレスリーの伝記的作品。

エルヴィスのことは楽曲含めほとんど知らず、特徴的な風貌と衣装のイメージしかなかったけど、まだ黒人差別が酷かった1950年代に黒人と白人の音楽を融合した曲を歌って、新たな音楽シーンを作った功績を初めて知って感動した。
同時に、栄光の影でかなり搾取され苦しんでいたことが分かる後半は見ていて辛かった…。

この作品は主演のオースティン・バトラーの素晴らしさに尽きる。何年も費やしてエルヴィスの特徴を習得し、さらに若い頃の歌唱シーンは彼の歌声を実際に使用してるとのことで、この人こんな才能ある役者さんなんだ!と驚きました。
見た目あんまり似てないかなと思ったけど、時々怖いくらいエルヴィスにそっくりな時があって、まさに憑依してたと思う。

ただ、エルヴィスを語る上で欠かせない"悪徳マネージャー"のパーカー大佐を語りに使ったことで、この映画の焦点が曖昧になってイマイチだった。落ちぶれた大佐がエルヴィスを回想する所からスタートするのも「え?」って感じだったし、最後のエルヴィスの死に対する語りも正直「それ散々搾取したお前が言う?!」って思ってしまって、かなり残念だった。
エルヴィスと大佐の関係を中心に描きたかったのは分かるけど…トム・ハンクスが演じたことも相まって大佐の存在感が強すぎて。もっとエルヴィスに集中したかった。

圧巻のステージに熱狂するファンたちの熱気が伝わってくるような、再現度の高い歌唱シーンは素晴らしかった。
大好きなボヘミアン・ラプソディと違って、悲しいラストで終わるから観終わったあとズーンとしてしまうけど、エルヴィスの人生を知ることができて良かったです。
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