おどろきの白鳥

tick, tick...BOOM!:チック、チック…ブーン!のおどろきの白鳥のレビュー・感想・評価

4.3
わかる。
わかりすぎる。
共感の嵐。

ミュージカルの舞台と、作り出すまでの過去の出来事がクロスしながら映画は進む。
主人公のただ音楽を楽しめればいいというだけではなく、名を挙げ、一流ミュージカル作曲家として認められたい、自分の作った曲で大きなステージを作りたいという欲求。
30歳の誕生日という区切りと、夢を諦めて就職する仲間たち、なのに何者でもない自分というコンプレックスや焦り。
僅かなチャンスに賭ける意気込み。
そのための曲の、産みの苦しみ。
絵、映像、小説、漫画…いや、役者、監督、芸術家など、「作品づくり」に関わったこがある人間、夢破れて挫折した人間などには共感する部分が大きい。

特に、別れ話をしにきた恋人を引き留め、抱きしめながら、「このシーン、このセリフをどんな曲にしよう」と考え、宙でピアノを弾くように指を動かすシーンは、「そうなるよね」という思いしかない。

『アメイジング・スパイダーマン』では、若すぎたからかあまり上手いとは思わなかったが……
『ハクソー・リッジ』で狂気の主人公を演じたときは彼と気付かず。
ですが、本作と『タミー・フェイの瞳』では顔の筋肉全てから手の指先・足のつま先に至るまでの演技、感情表現がすさまじいアンドリュー・ガーフィールドに驚きました