明国の影響下にあった朝鮮王朝において、王の世宗はチョン・ミンシルの高い知識や技術を認め、科学者として武官に重用される。ミンシルは朝鮮独自の技術で天文儀器を作り、庶民の暮らしに役立たせるとともに、世宗と身分を越えた絆を持つようになった。しかし、明国への悪影響を恐れた臣下の者たちにより、ミンシルは世宗と離され、捕縛されてしまう。
特に歴史の知識が無くとも楽しめると思います。
民を思い、朝鮮の自立を夢を持つ王の世宗(ハン・ソッキュ)と、野心など無くただ科学者として生き、王に思いを託すチョン・ミンシル(チェ・ミンシク)の関係を描いた作品になっており、この二人の関係は観ていてとても心地良く感じました。
ストーリーのテンポは良く、身分の低いミンシルが世宗の信頼を得て、次々と発明していく流れはサクセスストーリーとして良く出来ており、その後、臣下の陰謀に巻き込まれて窮地に陥っていくミンシルの転落劇はサスペンスに似た人の陰湿な部分を丁寧に描かれていて面白かった。
王である世宗は、高潔かつ庶民の暮らしを慮る優れた王であることが描かれており、あまりにも純粋すぎる思いが臣下を惑わせていく姿もまたリアルに描かれていました。身分の差なく学ぶことのできるハングル文字の開発が体制を揺るがす脅威と捉えられる様子は印象的でした。明国の脅威が常に臣下の心を支配していたのだと思います。
ミンシルは、特に上昇志向というわけでなく、科学者として物を作ることが好きな人物として描かれており、また、王の純粋な思いを受け止めることのできる唯一の人物だったと思いました。しかし、臣下の企みなどに備える用心深さが無いため、牢屋に囚われることになったことは本当に残念でした。それでもミンシルは王を信じ、最後まで王のそばを離れなかったことは心にしみるものがありました。
この作品の中の障害として、明という国の力があります。単純に規模が違うこともあり、朝鮮王朝はいつ攻撃されて支配されてもおかしくない状況にあったのだと思います。直接的に明の支配を描く部分は無いにも関わらず、その影響力の強さを感じることができました。
小難しいストーリーではなく、王と一人の武官の友情を描いた作品であり、変に構えず観ることのできる作品だと思います。
とても面白かったと思います。
鑑賞日:2022年9月13日
鑑賞方法:BS/CS