さー

バビロンのさーのネタバレレビュー・内容・結末

バビロン(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

惜しい。

感想を書き散らす前にひとつだけ…
マニー役のディエゴ・カルバさん、オレデミー"100万回ti amo言われたいで賞"受賞おめでとうございます…おぼこい付き人からいっぱしのディレクターまで、まじで常に顔がタイプすぎたよね。終盤の愛・大爆発なシーンときたら、もう良すぎてキレそうだったわ。

ではまず良かった点から…
ひとつひとつのシーンの映像の切れ味、最高でした。多用される長回しと、それに応える役者の熱量ある演技、そして音楽が、「このシーンあと何回でも見れるわ〜」な場面を多く生み出している。監督の映像センスの良さは、もう疑いようがなくて、静と動どちらの場面の見せ方もすごく良かった。

けれど、良いシーンを繋げただけでは、良い映画にはならない。

2時間を超える映画には、長尺である理由が必要だと思う。今作は、「どこのシーンも削りたくなくて、結局3時間になっちゃいました」という風に見えた。作品の中で、どの場面に重きを置いているのか、何をいちばん伝えたかったのか、絶対に外せない芯の部分は何だったのか、それが伝わってこなかった。きっと、「今日の"映画"という素晴らしくて大きなものは、今では忘れ去られた彼らなくしてはあり得ない」ということを伝えたかったのかもしれない。でも、観客に届くかどうかは考えず、とりあえずたくさんボールを投げて「この中に伝えたかったことがあります!」と言われているように感じた。

いまわたしが忘れたくないのは、憤怒と哀しみがないまぜになった表情で奏でられるトランペット、そして夜闇にゆっくりと消えゆくマーゴット・ロビーの後ろ姿なのだけど、その大切なはずのシーンも、3時間分並べられた映像のひとつに過ぎない。むしろ、1年後にこの映画のことを尋ねられても、「オープニングの乱交がやばい」くらいの感想しか出てこない気がする。これがやりたかっただけでは…?と言われても仕方ないくらい、製作者が自分で作品に込めたメッセージに自分でフォーカスしきれてない、そんな印象。

まさかこんな気持ちになると思ってなかったので、正直びっくりしてる。
さー

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