名波ジャパン10

バビロンの名波ジャパン10のレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
4.1
如何にも賛否が分かれそうな作品でした。傑作名画に絵の具を塗りたくって前衛作品に仕立てた感じ。サイレントからトーキーへの移行期のハリウッドという時代背景とテーマが面白いだけにとても残念。冒頭の阿鼻叫喚の乱痴気パーティの描写が全てです。よくぞここまで精緻に猥雑な世界を描けたものだと驚嘆以外のなにものでもありません。終盤の展開がデイミアン・チャゼル監督の前作「LA LA LAND」のエンディングを彷彿させるしっとりとしたものだけにそのギャップの大きさによる戸惑いも作品を肯定的に評価出来ない一因だと思います。息を飲むほど見事なカットが随所に散りばめられていながら、記憶に残るのはそんな断片的なシーンのみ。アカデミー賞のノミネートも作曲賞、衣装デザイン賞、美術賞に留まり、主要な賞を逃したのも頷けます。