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バビロンのcocomilk8o8のレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
4.0
『Babylon』

切なく、重く、それでいて華やかな映画業界。だからこそ、余計に苦しく胸に込み上げるものがあった。

1920年代のハリウッド。サイレントからトーキーへと移り行く過程での、サイレント時代の栄光と衰退を描いた大作。

「バビロン」というタイトル(神によって滅ぼされた古代都市)も憎い付け方。
ブラピ、マーゴット・ロビー、リー、ディエゴ・カルバ、ジョヴァン・アデポが演じる役はどれも実際のモデルがいる。
サイレントで栄光を手にした役者や裏方は、トーキーという発声映画の登場により、仕事がなくなっていく様を、残酷かつリアルに描いていて、正直見ていて苦しくて怖かった💦
時代の移り変わりは早く、今までそれで食べてた人達が一瞬で仕事がなくなって路頭に迷う。
現に今もAIの登場で多くの職がなくなるのではと言われている。
実際の人間が演じている映画自体が古臭いと思う時代も来るのかもしれない。
でも、今若者の間で、レコードやカセットテープが人気なように、細々でも繰り返しブームはやってくるのだと思う。

この作品で印象的だったのは、ゴシップ誌の編集長の言葉だ。「家」と「ゴキブリ」の例え話だ。恐ろしく怖かった。その通り過ぎて。。。時代の中で生きるものは必ずどちらかに分かれると思うし、時代を生き抜く人は過去の栄光ではなく、常に前に向かって進む。その差がこの登場人物の生き方の分かれ道でもある。残酷と言えば残酷だ。

ラストでマニーはなぜ笑ったのか。
『雨に唄えば』は中学生の時に見たきりで、まさにこの作品のように無声映画から発声映画への移り変わりをコミカルに描いた作品だった。(内容忘れているのでもう一度見たくなった)
マニーはこの作品を見ながら、自分が生きた若き日の映画の世界を重ねて見て、望郷に思いを馳せ涙ぐむ。でもそれと同時に何年経っても映画は進化し続け、次の世代へと受け継がれて残っていくことへの感動で笑ったのではないか。

ラストの映画100年の歴史を映し出した演出も秀逸。

『ジャズ・シンガー』も実際にある作品とのことで、見て見たい。

こういう歴史を華やかに切なく描いた作品大好き✨
素晴らしい作品👍👍
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