クロスケ

バビロンのクロスケのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
3.4
『ラ・ラ・ランド』を観たときにも感じたことですが、この監督は題材となる対象にそれなりの愛情というか、愛着を持っているのはわかるのですが、その表現の仕方が表面的で、思慮が浅い気がします。

今回は特にラストの件が余計で、何とも浅はかな表現に逃れたなという感想を持ちました。
序盤のサイレント期全盛の狂乱ぶりから、トーキーになり次第に登場人物たちが没落していく20年ほどの物語は、ややとっ散らかった印象を受けはしたものの、3時間の長尺にも関わらず飽きずに見ていることができただけに、最後の最後で台無しにされた気持ちになりました。

ただ、ブラピ演じるジャック・コンラッドが旧友との再会の後、自室に向かって歩いていく様子を、後ろから追いかける移動ショットで捉えたシーンには少し感動しました。
その後、部屋に戻った彼に訪れる運命については、ここでは語らずにおきますが、その運命を微かに予感させるブラッド・ピットの背中に滲み出るスターのオーラみたいなものに凄みを感じます。

ブラピは歳を重ねるたびに、顔立ちがマーロン・ブランドに似てきている気がするのですが、その存在感や迫力まで往年の名優に近づきつつあるのでしょうか。
さらに10年後、20年後、彼がどんな俳優になっているのか楽しみです。
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