みどり

ステップのみどりのレビュー・感想・評価

ステップ(2020年製作の映画)
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2021/2/3

ニ歳半って結構一丁前なんです


結婚三年目
三十歳という若さで妻を亡くした健一
二歳半になる娘

なにもかもが予定外で
うまくいかないことばかりの日々
義理の父母に娘を引き取ってもらうこともできたが
男手ひとつで育てることを決めた


体温計では計れないものが
父親ではどうにもできないものなのかもしれない
娘、美紀の変化に気づいてあげられない
自分の不甲斐なさに心が折そうになったとき
ケロ先生のやさしさに触れる


保育園から小学校卒業までの十年間

さみしい、を言えなかった日
一緒に学校へ行くのをやめた日
急に距離をとりはじめた日

同じ日はなくて毎日が新しいことの連続で
なにかあってもなくても
そこに妻がいるかのように
一日の出来事を語りかけるように話す姿は
見ているこちらも応援したくなり
ほっとする瞬間だった


思い通りにいかないのが、人生だもんね


わたしもそう、他の人だってそう
予想外のことは突然やってくる
人はいつだって一人では生きていけなくて
誰かがいてくれるから
前向きになれるしなんとか踏ん張れている



最近どうにもうまく向き合えないことがあり
落ち込む日々だったけれど
それを吐き出すことができる相手に出会えたこと
この悩みや苦しみを知ってくれている人がいるということ
それだけで心が軽くなった気がするから
また今日も一歩一歩
少しずつでもいいから
前に進んでいくんだ、って思える気がする

健一と美紀ちゃんのように




義父、義母、兄夫婦から
優しくてあたたかい愛に包まれながら、
たくさんの愛情を受けて育った美紀ちゃん
そして健一




溶けて消えても、ああ、綺麗だったなってたまに思い出してくれたらうれしい


義父の言葉の数々と頑固さと
こんな人になりたいと思った

一歩ずつ
一歩ずつ進んでいく
みどり

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