結論から言えば渡邊圭祐って子が断トツの独り勝ちを決めただけでしたよね。
開巻直後から展開される大虐殺、そこでの描写が情け容赦なく非常にドライ、それは山場でも同様で見応えのある砦攻略シーンが用意されていたとは思うんですよ。
演者もみなそれぞれの役になり切り演じ切っている、故に荒唐無稽な設定にも説得力を感じさせてくれていたと思うんですよ。
でもね。
目の前で友人を惨殺され慟哭する、という場面の直ぐ次の場面でまた同じ友人の死を嘆く姿が描かれる、ですとか。
時空を飛ばされた日の翌日くらいの時間感覚の内に、集団がホームシックで同調して団結力を高める、という流れで感情移入を誘ってくる、ですとか。
致命傷を負わされた友人を抱きかかえてその今わの際の言葉に耳を傾ける彼はしかし凶刃の的にされない、ですとか。
斯様に人の生き死にが物語都合にしか思えない、ですとか。
まるでノルマをこなすみたいに安易な愁嘆場を連続で見せるパートがある、ですとか。
覚悟を決めて立ち去る彼の背中に向けその名を叫んだところでなんの意味もないのにその名を叫ぶ、一度ならず二度までも、ですとか。
既に語られた大落ちをミッドクレジットシーンで初めて語るテンションで描く、ですとか。
詰まり全体的に。
手癖で作ったそれぞれの場面を繋がりを無視して順番に並べただけ、に見えてしまったんですよね。
果たして結果的に。
渡邊圭祐って子が断トツの独り勝ちを決めただけでしたよね。