これは家族の繋がりの強さと同時に厄介さを描いた、ある意味普遍的なテーマに思える。新興宗教が絡むことで得体の知れない不気味さが支配するけど、自分の家では当たり前だった風習や決まり事が普通じゃないんだと知る衝撃というのは、大なり小なり誰にでもあるんじゃないだろうか。最近は企業や社会でも同じ思想や信仰のようなものを共有することが強要されているようで居心地の悪さを感じるけど。
皆それぞれ何かを信じてるし、何かに騙されている。その価値観に疑いが生じるとき、まさに今作のように信仰の揺らぎとなるわけだけど、だからといって家族というコミュニティを完全に否定することはできない。芦田愛菜はその迷いや悩みを繊細に丁寧に見せてくれる。
