TakeruAkahoshi

星の子のTakeruAkahoshiのレビュー・感想・評価

星の子(2020年製作の映画)
2.5
教団職員の黒木華が言う「あなたの意思じゃない」というのは、否定でも肯定でもない微妙な言い回しだが、これこそが宗教の本質をついているところ。単に今ここに存在するのはあなたの両親が決めたことで、あなたが決めたことではないとも取れるし、この世に生まれてきたのは、あなたの意思じゃないとも言える。なんとでも言える。悩ます坩堝に常に身を置くことで、解答はない。またその状態にあることで宗教に留まらせることにもなるのではないか。中学生の頃の特有の大人でも子どもでもない感じが、揺れ動くに丁度良い年頃だろう。後半の誰もいない教団会館で、一人で両親を探し回るのは会館という箱に閉じ込められ出口がない場所にまだいる。また、両親が好きだから見捨てられない、いてしまっているということ。姉みたいに出ていくことができない。でも、普通ではない両親という葛藤。最後に家族で星を眺める描写で、両親と違う星空を見る、ちひろはどうなれるのか、自分の意思を持てる日はそう遠くない気がしているラストだった。