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マリーナの海のnobuseのレビュー・感想・評価

マリーナの海(2014年製作の映画)
4.0
まず、「お涙頂戴」な作品では全くない。また、ミニシアター系の映画によくある、陰鬱で残酷な描写をもって「リアル」の表現だと履き違えているようなシーンも一切ない。
むしろ悲哀を感じさせるシーンほど、とてもさりげなく、温かく描かれている。

私は障害を持った人と一緒に暮らしたことはないので、もちろん何が本当かはわからないけれども、少なくともこの映画は、家族の誰一人の感情も漏らさずに描いていると思った。

お母さん、お姉さん、マリーナ、お姉さんの彼氏、同級生、近所の人、それぞれに共感できるし、特にお姉さんの落胆も痛いほどわかる。
でも共感の押し付けがましさはなく、私たち自身の心に委ねられている。

最後の言葉に、きっと多くの人がはっとさせられたと思う。
海を見て微笑むマリーナは、全てに満足しているように見えたし、あの微笑みは、他の誰かが決して真似することはできないものだった。
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