感動の涙。あまりにも切ない描写が多いですが、これは家族と人々の救いへの希望を描いた物語。
劇団テンアンツの舞台は、2019年8月に下北沢「劇」小劇場で「板の上の二人と三人そしてひとり」を観劇しており、大好きな劇団のひとつ。舞台終演後のカーテンコールで、上西雄大さんが映画「ひとくず」が公開されることを告知されていたのですが、これまで映画は未見でした。
冒頭、少女 鞠(マリ)が、親から受けている虐待の様子が静かに、静かに描かれ、物語が始まります。。
その後は、目を覆いたくなるほどの荒々しい虐待やいじめの描写が次から次へと描かれます。
そんな生活の中で、虐待を受けている人、虐待をしてしまっている人たちに気を配り、気にかけ、何とか、何とか、救い出したいと自分なりの行動を起こす人々が表れてきます。
救い出すために自分は何ができるのか。
どうしたら救えるのか。
そのような思いを持って、それぞれのやり方で自分にできることを必死に考えて、働きかけをし続けていく人々。
切ない虐待シーンの合間合間に登場するそんな人々の言動に、目頭が熱くなりました。
そして、あまりにも、あまりにも切ないラストシーンは、涙があふれました。
物語は終わりを迎え、エンドロールが流れ始めます。
何人かの観客は席を立って劇場を後にされました。まあ、映画鑑賞の習慣なのであろう。
私は、どのような映画でも、劇場が明るくなるまで、席に座って最後の最後まで観る習慣があるので、いつものようにそうしていると、エンドロールの途中から、ふいに、ラストを迎えたと思えた物語の続きがはじまりました。
再び、涙が溢れました。
この本当のラストを観ずに席を立ってしまったら、本当に、本当にもったいない。
どんなシーンかは書きませんが、映画「ひとくず」をこれから鑑賞される場合は、どうか、場内が明るくなるまでの最後の最後までご覧ください。
そんなラストシーンまで描いてくれて本当に感謝です。
切ないシーンが多いですし、美しいとは言えない言葉の数々が飛び交う作品ではありますが、これは、明らかに個の救い、家族の救いを描いた希望の物語です。
脚本、個々の役者の皆さんの熱い熱量により、この物語にどっぷりつかって味わうことができました。
映画終演後、監督の上西雄大さんと担任教師役の水村美咲さんの舞台挨拶がありました。映画製作や撮影時のお話に聴き入りました。
寒い中、おふたりは舞台挨拶後、ユーロスペース入り口のエントラスの外で、サイン会をされていました。並んでいましたので、会釈のみして帰りました。
映画「ひとくず」。私にとっては、傑作です。
素晴らしい物語をありがとうございます。
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感想:映画「ひとくず」 | 映画 | 高橋典幸ブログ
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