このレビューはネタバレを含みます
世界は何故こんなにも正しくないのか。
めちゃくちゃバランス感覚のいい作品。
キャシーは決して正しい人間ではない。
だが、人の尊厳を踏み躙る悪と彼女の悪とでは、どれ程の隔たりがあることか。
女性への差別的な思考や文化などの描き方もさることながら、マイノリティへの無遠慮な押し付けなどの描写も素晴らしい。
何より素晴らしいのは彼女を「単なる正義」として描かなかった事。
この映画は、観た人が少しでもキャシーの心中を想像し、寄り添い、幸せを願うためのものだ。
何が正しくて、何が間違っているのか。
そうではなく、彼女が何を思い、何を感じ、彼女の事を想う人間の悲しみややり切れなさを欠片でも拾って帰路につくための映画だ。
