カバディダック

プロミシング・ヤング・ウーマンのカバディダックのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

映像がすごく良い。いいなあ、というショットがたくさん。キャリー・マリガンもすごかった! 衣装も良いし、パキッとしてヴィジュアルが強い。テーマも重要だし、面白い映画だと思う。男は簡単に加害性を帯びてしまう。女性の視点で見ないと、なかなか男性は気づけないこと。

しかし、良かったからこそ、ラストが釈然としなかった。

タランティーノがやるみたいな、キャシーとニーナを苦しめた奴を焼き殺すぐらいの復讐劇! が決していいとは思わない。何も残らなくなってしまうから。

でも、あのラストは、キャシーがひねったプロットのために殺されたようなものではないか。動画を手にした段階で、死なずに復讐を行うことは彼女には可能だった。

怒りのために直接行動に移らざるを得なかった、論理的思考を捨てて彼女は死に向かった、それは宿命だったのだ、というなら、もっとそうわかるように丁寧に描くべきだし、そのような状態なら、ラストのような周到な準備はできない。「失踪したらこの動画を…」て、そもそもなぜ自分が死ぬと予期できたんだ!?

キャシー、そんな周到な準備をできるなら、死なずに復讐を遂げれたやろ…あんたは馬鹿じゃない…なんのために死んだんや…あんなクズ男捨ててもあんたなら前向きに生きれただろ…ニーナも浮かばれんよ…という思いを捨てきれない。プロットのために殺すなら、結局、性犯罪はエンタメのネタなのかよと思ってしまう。うーん、釈然としない…。

『セッション』『ララランド』みたいな、ラスト驚きますよ!みたいなのがはやってるからかなあ…。それを脚本うまいとは言わないと思う。