どらどら

プロミシング・ヤング・ウーマンのどらどらのレビュー・感想・評価

5.0
- You Should Be The One With Her Name All Over You.

彼女をイカれているとみなは言う
たしかに、彼女はイカれている
この腐りきった社会の常識では
彼女の誠実さは、狂気でしかない

訴えを真摯に受け止めなかったものも
男性の将来の有望さ!!を優先したものも
ただそこにいただけのものも
“Innocent Bystander”でいることなど許されない
自分の罪を、恥を、狂うほどに受け止める
それしか私たちにはできない

この物語は彼女を退場させる
それは彼女への救済か、社会への絶望か
ホモソーシャルな繋がりの気味が悪いほどの有害さを示しながら、彼女は不敵に笑う
そう、ふたりで

“You Didn't Think This Was The End, Did You? It Is Now”
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聞いてはいたけど予想以上
この映画を観て、狂うほどの恥を、あの弁護士の絶望を、味わわなくてよい人間などどれだけいるのだろうか
わたしたちは基本的に、有罪なのだ

ポップさに裏打ちされながらも物語はエグすぎるほどにグロい
I〜IIII +ライアン、誰もこの物語の磁場からは逃れられない
性別も、法律的責任の有無も、職業も、全て関係なく

全学生の必修教材にすべき
被害者のいかなる性質も性加害を相対化しない、ということはどれだけ繰り返しても足りない
TBS山口の事件の厚顔無恥さを見ればわかるでしょう
この映画ほどのグロテスクな加害ではなくても、自分があのとき笑っていたことでその場にいた誰かを猛烈に傷つけていたかもしれない
その恐れはずっと持ち続けなければいけないし
それを背負って生きるのが、私たちの義務だ

さらに言うならば、この映画はある種の希望も示している。
過去の罪をあの弁護士のように引き受けたとき、わたしたちは許されうるのかもしれない
“I Forgive You”と言うキャシーのセリフの重みも、受け止める必要がある
どらどら

どらどら