suzy

プロミシング・ヤング・ウーマンのsuzyのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

鑑賞後こんなにも胃の底から湧き上がるような不快感で気持ち悪くなった映画は初めてかなと思った。単純に物凄く悔しかった。

ずっとキャシーが死んでしまったことが信じられなくて、死体を燃やすための火から飛び出た彼女の手を見るまでこれはきっと死んだフリで、この後このクズ野郎に仕返しをするんだよなって思っていた自分がいて、死んでしまった事実を知った時は虚無感で頭が真っ白になった。

キャシーが死んでしまったことをどう受け取るかは人によると思うけれど、私は彼女が死ぬ事でしか、性的暴行ではなく殺害という罪の形でしか、あのクズ野郎を葬ることができない、この社会に対する皮肉ではないかなと思った。逞しい筋肉が付いた所謂「男らしい」腕で、暴れるキャシーの顔を枕で塞いで窒息死させたシーンは、観客側が思うような単なる復讐劇などでは済まないんだという現実を見せつける製作側の強い意志によるものだと感じた。

力の強さに抵抗できなかったキャシーが最終的に頭脳で勝負し、結果加害者を牢屋にぶち込むことはできたけど果たしてそれでハッピーエンドなのか。絶対違う、被害者であるニーナ、そしてキャシーがあのような形で苦しまなくとも被害を訴えれば加害者がちゃんと罰せられる社会が作られるべき。でも現実はそうじゃない。

医者になる「前途有望」な人間だから罪が軽減された?このタイトルのように前途有望な若い女性だったら同じようになるのか?未だに蔓延る男女差別、性犯罪、そして被害者の二次被害全て今すぐ消えて欲しいと思った。爽快復讐劇なんかじゃない、この世に生きる全ての人達に観て欲しい映画だと思った。
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