悲しすぎる
▼以下ネタバレ含みます▼
復讐について考えさせられた。
過去に、自分が被害の当事者ではないが、自分の大切な人が被害を受け、そして、その被害を自分が防げたかもしれない、という場合、人はその被害の大きさにともなった大小様々な後悔に取り憑かれてしまう。
大概は、自分は悪くないと自分に言い聞かせ、騙し騙し生きていって、そのうちその罪悪感が薄まっていき、普段は気にせずに日々を過ごせるようになっていくものなのだろうが、そんな自分を許せない人の場合、その人の人生は過酷なものとなる。
楽しければ楽しいほど、幸せであれば幸せであるほど、そんないい思いをしてはいけないと思っているので、そのプラス分を打ち消そうと、より悲しく、より孤独で、より不幸に生きようとする。
この映画の主人公のように。
そんな後悔に取り憑かれてしまった人間がいた場合、その人が解放されることを描くことで、見ている人も救われるのだが、その解放の仕方には2通り道がある。
解放されて幸せな人生を送るか
死ぬことでその苦しみから解放されるか
この映画は、後者だった。
だから悲しすぎるのだ。
いくら加害者たちが制裁を受け、彼らの人生が狂おうとも、その転落が巧妙で痛快であっても、最も救われて欲しい当の本人がもういないのだ。
そのやるせ無さたるや
なんとも独特な後味の悪さが残る映画だった。