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われわれはみな暗殺者のkayupanのレビュー・感想・評価

われわれはみな暗殺者(1952年製作の映画)
5.0
盗みや暴力が日常となっている戦時中の貧困街で育ち、戦後に殺人を犯した青年が死刑判決を受ける。当時の死刑制度の意義は、真実やその人間の背景よりも、殺人という事実の責任の所在を早く確定し、社会の秩序担保のために戒めとして、人間が裁き人間を殺す。
そういった実情に対し、監獄へ配属されたキリスト教牧師が、教義に反した死刑の意義を問う。弁護士は貧困の福祉による援助で、医師は精神病を医学による治療で、社会の犯罪を根本的に予防することを訴える。
民衆を知らず知らずのうちに安堵させている、社会による普通でないこと(≒狂気)の排除の過剰。それを止めるきっかけとなるのは、実際に会うこと、憐みである。
この作品が撮られたフランスでは、1981年に死刑が廃止されている。
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