竜どん

ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりからの竜どんのレビュー・感想・評価

2.9
仏映画にしてはネットリしていないし妙な心理描写も存在しないわかり易い(笑)ロマンティックラブコメディ。
映像は凝っていて挿み込まれるSF描写は丁寧で緻密、フランスの美しい街並はまるで旅番組を見ている様。特に冒頭出逢いから現在に至るまでを一気に魅せる二人の10年は軽快なテンポとオサレ音楽で引き込まれる。何よりオリヴィア役ジョセフィーヌ・ジャピが美しくも可愛らしくハマり役。眼鏡っ子は正義!

大事なものは失って初めて気が付くと言うけれど、己の成功した人生や目の前にいる愛する人との積み上げた年月がゼロになっている状況。コレは切ない。主人公ラファエルの悪戦苦闘がコメディ過多に描かれるのでストレスなく楽しい気分で観れますが、大きな事件がある訳ではなくある意味フィーリングのみで進む二人の距離の縮まり方はやはり元々ドラマチックに結ばれた者同士ゆるくありながらも運命的で素敵。卒業校の逃走エピやサイクリングデート、海辺のシーンは本来あったかもしれない恋路を追体験している様で二人の新たな恋の顛末を応援したくなる。
ただ賛否分かれそうなラストには私も疑問符。
「並行世界」の捉え方で意味合いが大きく変わってしまう。ふたつの世界が同時に存在しているかどうかがポイント。ラファエルが転移した時点で片側が消滅してしまう設定なら元世界への帰還はオリヴィアの成功が無くなること意味するし、同時に存在している設定なら滞留/帰還どちらを選んでも必ずどちらかのオリヴィアを切り捨てることになってしまう。フェリックスが軽く協力をしているを見るに恐らく後者なのでしょうが…
捨てるもの手に入れるもの両方が存在するラファエルの選択は等価交換と言えなくもないけど…ふたつの世界のラファエルとオリヴィア皆に幸せになって欲しかったかな。ありきたりなハッピーエンドを回避したが故か、個人的には眼前の愛を選んだ二人の身勝手さへのイライラが勝ってしまった。ラストのラストで☆マイナス0.5。残念。

親友フェリックスはいい仕事してますね。でも南葛ってw


追記
今回鑑賞したイオンシネマ座間は去年開業したばかりの新しい映画館。本作は東京圏はほぼ全滅なので初めて足を運んでみました。イオンモールの広大な敷地の中に映画館のみの単独施設として建っており外観は中々スタイリッシュ。オオッここは入場確認も無人なのか(チケットに印刷されているQRコードを入口で読み取る)…と思いきや、検温やら機械の説明やらで結局係員さんが常駐してるのね。一人一人機械に券をかざすので人間が目視で確認した方がサクサク進む様な気がするが、大事なのはそこではないのでしょうな。
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