栗居茶介

劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIMEの栗居茶介のネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

コロナの影響なんだろうけど、冬映画でクロスオーバーではなくて単独作品が来たのはちょっと新鮮だった。
さて、他の仮面ライダーと比べてゼロワンという作品の特長は世界観をしっかりと描いてきたことである。様々な企業や革新的技術が登場したこともあり、本作においてナノマシンという新たな異物が入ってきてもそれを自然と受け入れられる基盤があった。また、それをアークの暴走と関連付けることで、TVシリーズで語ってきた人間の善意と悪意の物語ともリンクさせている。
しかしそこに別の異物として仮面ライダーエデンことエスが登場する。彼は善意とも悪意ともつかない愛や悲しみで悪を為そうとする。最終的に彼の計画は阻止されるが、或人や仲間たちの絆を描き、真に悪意をもつ敵を生み出すのにとても印象的な活躍をした。観客は或人の立場でエスの物語に触れることで心をゆすられたことだろう。魅力的な敵であった。
この陰の主役とも言えるエスのほか、本作の見どころとしてはやはりゼロワンとゼロツーが並び立つところであろう。言うまでもなくこれは仮面ライダー1号と2号のオマージュであるのだが、或人のピンチに駆けつけたのがイズの変身したゼロツーであるというのは、分かっていてもアツくならざるを得ない演出である。その後の真の敵とのバトルで魅せる息の合った怒涛の連撃+主題歌のパーフェクトコンボのインパクトは素晴らしいの一言である。ややご都合主義な側面もあるものの、それ以上にゼロワンの映画として、ファンサービスも映画自体の質も満足のいくよい作品であった。
栗居茶介

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