メシと映画のK佐藤

劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIMEのメシと映画のK佐藤のネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

本来なら夏公開予定だったのが、コロナの影響でmovie大戦の時期である冬公開となったゼロワン劇場版。
色々とモニョモニョしたテレビシリーズ最終回をきちんと補完出来ていたので、パンフ掲載のスタッフインタビューでも述べられていますが、それが却って良い結果となっていたと思います。

個人的にはテレビシリーズ主題歌が流れる中で、或人の変身したゼロワンとイズの変身したゼロツーが共闘する画があるだけで本作は優勝なのですが😅、上述した通りテレビシリーズの補完をやってくれていたのがまず良かった。
ゼアを通じて旧イズの記憶を引き継いだ新イズが或人の危機を救う件は見事にテレビシリーズのオープニングで描かれた二人の画(廃墟でイズが或人に手を差し伸べるシーン)に繋がっていて、思わずおお!と唸ってしまいました。
他にもエイムズ、ザイア、滅亡迅雷のライダーの共闘と云う形での人とAIの共存の描写等、テレビシリーズの残務処理をこなしていてゼロワン真の最終回と言っても過言ではない仕上がりになっていたかと。

物語の組立が巧みだったのも、個人的に高評価の要因です。
冒頭からゼロワンとエデンの戦いを持って来ると云う普通の物語の流れとは逆の形にして、エデンの思惑が直ぐには分からせない様にしており、観ている側の興味を最後まで釘付けにする事に成功していたと思います。
テロの実行犯=排除される側、テロの被害者=生かされる側だったのは、中々巧いミスリードのさせ方でした。
また、技術は使い方によって人を幸せにするし不幸せにもすると云う本作の着地点は、テレビシリーズにも繋がる流れになっていてグッド。
この様に本作の物語の組立方は実に良く出来ていて、個人的には劇場版平成ライダーの中でも屈指の出来だと思います。

唯一の心残りは、アズがどうなったのか描かれず終いだった事です。
ただ、それも人の悪意に終わりは無いと云う事の隠喩かと思えば、特に不満は無いです。

折角の劇場版なので、滅亡迅雷全ライダーも含めた共闘を拝めると期待していたのですが、其方はVシネに期待しろと云う事なんでしょうかね…。