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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実のleylaのレビュー・感想・評価

3.9
コロナ過のために劇場で観るのを諦めた作品。レンタルになってすぐに観たけど、レビューは書けずにいました。

10代の頃に三島作品にハマり、「三島カッコイイ〜」と思うただのミーハーファンです。
思想にはあまり興味がないし、動く三島、しゃべる三島を観られるだけで満足。
生まれた背景や社会情勢も今とは違うし、思想も人それぞれ違うので理解するのは難しい。

1969年東大駒場キャンパス900番教室で行われた三島由紀夫vs.東大全共闘の討論会の記録。

ピリピリとした空気の中、戦闘モードに入るかと思いきや、真摯に学生の話を聞き、ユーモアと知性ある言葉を返す三島に、和やかなムードさえ漂う。なんて度量の大きな人なんだろう。東大生がアホに見えちゃったな。

カットされてるのかな?東大生はたった数人しか発言してなくて謎の討論会だったけど、社会を変えようと若い人たちが熱を持っていた時代だったということは伝わった。

右翼vs.左翼、保守vs.革新、敵同士かと思われた両者も、実は根本の敵は同じだったということ。
確か「敵は日本の曖昧なワイセツさ」というような表現をしていたかな。
そして、社会を変えるのは「言葉」だということ。

三島は「天皇」という言葉を、天皇その人としてではなく、日本文化と捉えて使っていた。日本の精神が消えゆくのを嘆いていたんだろうか。

戦中に育ち、戦後を生きてきた三島と戦後生まれの学生たちでは、根本的な考えは違うし、分かり合えないと思う。この討論は両者にとってただのパフォーマンスにも思える。

関係ない人の浅いインタビューは不要だったな。

この討論から約1年あまりで自害した三島、45歳。知的でナルシストでエネルギッシュで、才能ある人は生き急ぐ。
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