めっちゃおもしろかった。
もちろん哲学用語がたくさん出てくるし、
当時の学生たちには日常的に使われていただろう言葉を
すべて理解するのは無理なんだけれど、
それでも三島の明瞭な語りは十分伝わるし、
本当に人として魅力があったんだろうなと思った。
右翼の三島が左翼の全共闘に乗り込むって構図がおもしろく、
その対立がどう着地するのかってのは期待して見たけれど、
結局のところ三島が「天皇」という言葉を使っているだけで、
凝り固まった社会をどうにか変えたいという意味で
両者にそれほど違いがないことが見えてくる。
この三島のスタンスってのは今のネトウヨとは全く関係ないんだな。
たしかに三島は日本には固執してるけれど、
なんでもかんでも体制側を礼賛する気はない。
だからその意味で運動を続けている全共闘をリスペクトし、
こうして対話することを厭わなかった。
対話…言葉が力を持ってた最後の時代だったと、
芥氏だったかな?作中で言っていたけれど、
ここに成立していたような対話はもはや消滅したように思える。
私が学生だったのは20年前だけれど、
このころの学生運動の持つ「熱情」が羨ましく感じた。
政治に関心を持ち、政治を動かしたいと思っても、
もはやそういう気運も機会も何もない。
そしてそれは20年間経った今も変わらないどころか、
熱情からはより遠くなっている気すらする。
失われた時代の、健全な関係性のあり方。
また見返したい。