おそば屋さんのカツカレー丼

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実のおそば屋さんのカツカレー丼のレビュー・感想・評価

4.9
いやぁ~シビれた!最初から最後までとにかくスクリーンに釘付けで、恥ずかしながら気づけば前のめりになっていた。でも、それも仕方がない。それだけの物がこの作品にはあったから。うん、仕方ない。

1960年代という世界的に若者による政治運動が連鎖的に発生した時代の日本の若者の政治・社会に対する熱量を体感する目的で観賞を思い立った。しかし、観終えてみれば彼らの熱量はもちろん議論の面白さも非常に印象に残った。自己と他者ひいては暴力、エロティシズムとの関係、人間と自然、天皇、はたまた時間と空間まで本当に多岐に渡る議論が交わされていたが、全く飽きることがなかった(正しいかどうかは置いておいて)。

「媒介としての言葉が力を持っていた時代の最後」という芥正彦氏の言葉が重くのしかかる。あそこまでの言葉による闘いを見せる者にそこまで言わせるほど言葉が廃れてしまった現代。なんとしてでも取り戻さねばならない。言葉を、対話を。