Tai

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実のTaiのレビュー・感想・評価

3.7
その言霊に彼を観る。

三島由紀夫という人物を今の30代までの世代がどれだけ認知しているのでしょうか。
私は親からチョイチョイ話を聞いていたので知っているレベル。
中高の部活が剣道部だったんですけど、鍛えてたくましくなっていく私の身体を見て、母が「いいじゃん。三島由紀夫みたいになってよ。でも切腹はしないでね」と言った横で父が真面目に「やめろ」と言っていたくらいですね。笑
でも、実際に彼の本を読んだことも無いし、これまで興味で調べたりもしてませんでした。
三島由紀夫という人物を簡単に説明できないので、本当に要して言うと〝当時、最高にとがった作家〟という感じでしょうか(;´Д`A

1968年、学生運動の過激さに歯止めが効かなくなっていた頃、もはや暴動レベルの活動でも注目度トップクラスの東大全共闘と、文学者である三島由紀夫が東京大学講堂にて討論会が開催されました。
1000人を超える学生が集まったのに対し、それを相手するのは三島由紀夫ただ1人。
唯一、現場でカメラを回し続けたTBSが保管していたフィルムと、当時そこに居合わせた人物や、三島由紀夫をよく知る人物のインタビューを織り交ぜて制作されたドキュメンタリーです。

とりあえず、観終わった後は自分も討論したくなりますね!これを観て何を感じ、考えたかを人とすり合わせたい!そんな伝播する熱量が確かにありました◎
実際、一緒に観に行った友人と色々と語り合いましたね( ´∀`)b

左翼(学生)VS右翼(三島)に見えるその討論でしたが、結局のところ両者が敵とするものは何なのか?彼らが何を言いたいのか?に迫るところは、非常に興味深かったですね。
私は両者とも〝黙って世の流れに隷従したくない!〟と言っているように感じました。
全く違う立場で言い争うために対峙した両者の根本に同じものを見るというのは面白いものですね。

知らない哲学ワードがポンポン飛び出て、正直、会話の詳細を完全には理解できませんでしたが、それよりも、討論の大切さや、それを行う上での姿勢を学ぶ上で非常に為になる作品だったことは間違いありません。
生まれた世代、経験した出来事によって受ける影響というのは多大だなと知らさせられましたね。
だからこそ、その違った価値観を擦り合わせるというのは有意義な時間でした。


しかし、当時の「オール日本ミスター・ダンディ」という投票によるランキングで三船敏郎や石原兄妹に加山雄三を抑えて三島由紀夫が1位とか驚愕でしたね!
あの文学者とは思えない鍛え抜かれた身体に、背筋の良さ、色気……ウチの母が期待したレベル高すぎるだろ‼︎笑
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