Toshiko

彼女たちの革命前夜のToshikoのレビュー・感想・評価

彼女たちの革命前夜(2019年製作の映画)
3.9
2019年イギリス。
予告などをぼんやり見ていただけだったので、何年くらいのことなのかよく分からず観始め、1960年代後半かな(ミス・ワールドのことは知らなかったけれど、肌の色が浅黒い代表も混じり、かなり多様化しているところから)と思ったら、1970年に開催されたミス・ワールド大会の史実にもとづく話だった。大きくはずしてはいなかったかな。
コテコテのフェミニズム映画。運動を嫌う人は多いけれども、こうして映画などの描写で見ても、集まって何かしている時の人たちは楽しそうで実にいい。(わたしはフェミニストではないが。)
この作品の良いところは、全面的な運動の肯定ではなく、ミス・ワールドに出場してきた豊かではない小国の代表が、賞を勝ち取ることで自国に持って帰れる影響にもちゃんと言及していること。有色の国民たち、特に少女たちに希望をもたらす存在になれると。
外見だけで判断される存在=女性だったという時代。スリーサイズを現地で測られ、公表され、吟味される。ミスコンはまるで牛の品評会のようだというフェミ側の批判はよくわかる。その上で、女性が進める道が本当に限られていた時代にあって、(誰にでも手が届くものではないにせよ)ミス・ワールドで優勝した女性が同じ国にいたなら、それは一つの道であり希望に他ならない、という社会状況であったことも確かなのだ。
その両方の思想がぶつかる、ミスコン勝者とフェミ二ストが偶然にトイレで出会うシーンは一つの見せ場だ。

エンディングでは、優勝したグレナダ代表のその後も紹介される。美しさに恵まれたが、それだけでは終わらなかった人。
フェミニズム運動側のサリー(キーラ・ナイトレイ)のその後も。
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