旅するランナー

耳をすませばの旅するランナーのレビュー・感想・評価

耳をすませば(2022年製作の映画)
3.1
【耳をすませば、心の声が聴こえるか】

ジブリアニメの10年後を交えて実写化した本作には、二つの名言が引用されています。

一つ目は、映画「タイタニック」のジャック(レオナルド・ディカプリオ)の言葉、
「人生は贈り物です。 無駄に過ごそうとは思いません」です。

これは、ローズを助けたお礼として、婚約者のキャルからディナーに招待されたジャックが、それまで経験したことのないキャビアやシャンペンの豪華な食事を前にして言ったもの。
そもそも、タイタニックに乗ることができたのはポーカーで幸運をつかんだから、と話します。
I think life’s a gift and I don't intend on wasting it. (人生は贈り物です。無駄に過ごそうとは思いません)
You never know what hand you’re going to get dealt next.(次にどんなカードが配られるかはわかりませんから)
That teaches you to take life as it comes at you.(与えられた人生が来るだけです)
To make each day count.(だから、一日一日を大切にしたい)

二つ目は、作曲家アントニオ・ヴィヴァルディによる「生きる価値とは、どれだけ多く笑ったかである」。
この後、清野菜名ボーカルX松坂桃李チェロによる「翼をください」を歌う、この作品の最も素晴らしいシーンになります。
二人は、自分にとって大切なものを確信します。

この映画からは、自分らしく楽しく日々を一生懸命生きようというメッセージが伝わってきます。
作品全体としては、残念ながら、無理矢理アニメに寄せようとする違和感と、ラブストーリーとしての落としどころの唐突感があるため、耳をすませども、映画の声は聞えてきません。
でも、先に書いた「翼をください」演奏シーンが最高の笑顔にしてくれます。
もうそれだけで十分です。