Pnori

マリグナント 狂暴な悪夢のPnoriのレビュー・感想・評価

マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)
3.5
作品全体に漂うエモさが絶妙。

あちこちに散見するレトロ感はあえて隠してないよね。
研究所から始まるオープニングや主人公の精神疾患病歴、対照的な性格の妹、半信半疑の刑事、極めつけは廃研究所のこれでもかー!とオドロオドロしさ全開の建物。
その全てが使い古されたシチュエーション。

懐かしささえ覚えるし、伏線も何処かで見たような捻りのなさ。全てが普通すぎる。

ところがどっこい。
見方を変えればその全てが意図的の見えるのだ。
この単純さには絶対何か仕掛けあるはず、と。

そりゃそうでしょ。
我らがジェームズ•ワン監督がメガホンを取った久しぶりのホラー作品。侮ってはいけない。

期待値はもちろんMAXでワクワクしながら観ましたよ。

物語が進んでいくにつれて、怖いと言うよりもこの映画のジャンルってなんぞや?と考察している自分がいる。
不可思議な現象が立て続けに起こり、どんどん何を観ているかわかんなくなってくる。一体どう言うこっちゃ?と思っているとあれよあれよと急展開。

屋根裏から実母が落ちてきたあたりから怒涛の展開になっていくわけで。
意外にも結構早いうちから種明かしが始まってきちゃう。

後半のアクションでは今までのぎこちない動きはどこへやら、スマートでスタイリッシュすぎる殺陣に思わず笑ってしまう。
ガブリエルは怖いんだけど、そこはかとなく滑稽に見えてしまうのはこういう演出の妙がなせる技なのか。

観終わってみれば、いろんなジャンルのてんこ盛り。
それがお得に感じるかor思ってたのと違う!と思うのかは分かれるところ。

ただ、常に新しいホラーを模索し創り出す監督は本当に凄いと改めて感じる作品だった。

リスペクトやオマージュに独自の解釈をつけて意味がわからない作品の評価が高い傾向があるが、自己満足だけど誰が観てもわかるしちゃんと怖い監督の作品は、今じゃメジャーホラー界では貴重な存在。

プロデューサーもいいけど、監督の新しい作品をもっと観たい。そう思うのは私だけじゃ無いはず。
Pnori

Pnori