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ミナリのRenのレビュー・感想・評価

ミナリ(2020年製作の映画)
2.5
初日だからでしょうか、映画館がなんと満席。今年度アカデミー賞作品賞の最有力候補のひとつ。エンタメ要素はかなり控えめ、最近の作品賞で言うと『ムーンライト』とかに近いテイストだった。同じA24だし。

終盤まで劇的な展開もなく、韓国系移民の生活をじっくり映していく2時間。ゴーイングマイウェイ精神が故にすれ違う両親のため良好とは言えない家族関係、対して祖母が育てるのは、どんな調理法でも美味しく食べられる万能食材ミナリ(セリ)。そんなミナリのようになんでも上手くはいかない移民生活、ということなのかな。

観ている最中に一番感じてしまったのが、これは私の話ではないなということ。幼少期の祖父母との思い出を思い返して郷愁に浸かることは少しはできたけど、一人っ子で年齢は20ちょっと、両親の仲も良好なので、登場人物の誰も今の自分のことだと思えなかった。かつ、移民のことを知る社会勉強映画として観るにはかなり狭いコミュニティを描いていたので、馴染みのない世界の知らない誰かのドキュメンタリーのようで、何観てるんだろうと冷静になってしまう時間が多々あり興味の持続が難しかった...。

逆に言えば、映画内で巻き起こる事象全てが生活の延長線上にあることなので、終始地に足着いていてそこは良かった。雨の寒さとか草の匂いも感じられそうな映像の切り取り方も素敵だった。

結果、おばあちゃんのど直球下ネタ発言が一番記憶に残った。隣の席のおじさんが吹き出して笑っていたので思わずつられて笑いそうに。
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