大好きなスティーヴン・ユァン目当てで。
鑑賞中やその直後よりも、時間が経つにつれてじわじわと寄り添ってくるタイプの作品だった。
父、母、子、祖母
それぞれの目線、想い、役割が人生や家族を作っていくこと、苦労や衝突は決して悪いものではないことを暖かい視点で描いているように感じた。
悲観的になる要素は全体を通して感じられなかった。
特に世間一般的にみる「父親」という存在を少し理解できたように思えて嬉しくなった。
「ミナリ」は監督の実体験がベースとしてあるそうで、「両親への感謝の手紙となった半自伝的脚本」というネーミングや、自分の子への贈り物でもある今作へ込められた、様々なエピソードが素敵。
幼少期の記憶や感情が、作品のあちこちにさり気なく散りばめられていて、監督の心に触れられた気がして感動を覚えた。
そういう感覚を味わう度に、映画がまた好きになるし、これだからやめられない。
家族であることに挫けそうになったときはこの作品を思うことにしよう。