ハレルヤ

MINAMATAーミナマターのハレルヤのレビュー・感想・評価

MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)
4.0
かつて有名な写真家として名を馳せたユージン。落ちぶれた日々を送っていたが、日本の熊本県で発生していた水俣病を実態を知り、世界に発信するため奔走する実話を基にしたドラマ。

高度成長期の日本で起きた四大公害病の1つの水俣病。熊本県水俣市で起こったこの事件を世界に知らしめた写真家のウィリアム・ユージン・スミス。ジョニー・デップが彼を演じて、製作も兼任。本作に対する意識の強さを感じます。

ユージンが目の当たりにした心を痛める現実の数々。いくら言葉を並べてもこの現状を見せなければ、人々は関心を持ってくれない。それを分かっているユージンは、大企業相手に堂々とカメラを武器に切り込んでいく。

当然それを良かれと思わない諸悪の根源である企業のチッソ社。ユージンを買収して写真を出回らせないように画策したり、彼の現像室である納屋に放火したり、挙句の果てに凄惨な暴行を加えるなど、徹底して妨害しようとする。

それでも諦めないユージン。冒頭は飲んだくれの廃人寸前の状態だったのに、後半では見違えるほどの強い意志を持ったカメラマン。やはりジョニデの演技力が光っていたと感じました。

そんな彼を支える日本人キャストには真田広之、浅野忠信、加瀬亮という実力派勢揃い。真田広之のチッソ社に毅然とした態度で戦いを挑む姿は印象的。

そしてユージンの相棒的な役割で後に妻となるアイリーン役には美波さん。今まであまり知らなかった方ですが、ジョニデとしっかり渡り合える存在感だったと思います。

映画的な見せ方も固めながら、やはり本質の水俣病についての社会的メッセージもキチンと提起。今もなお被害の遺恨は残っており、他の国でも似たような事が起こっているとエンドクレジットで思い知らされました。

実話をベースにしているも、実際のところと違う点がいくつもあり、脚色もそれなりにあるらしいですが、水俣病の現実を伝えるには十分な内容。本来であれば日本で製作すべき映画ですが、ハリウッドもよく踏み込んでくれたなと感じた作品です。
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