半兵衛

キャット・ピープルの半兵衛のレビュー・感想・評価

キャット・ピープル(1981年製作の映画)
3.3
原典の『キャットピープル』とは趣を一新して、エロとグロに重きを置いて作られた作風とその姿勢は清々しさすらあって嫌いになれない。そしてナスターシャ・キンスキーの美しき肢体が、そうした作風に説得力と上品な雰囲気をもたらす。一方であまりにもスタイルがスマートすぎてあまり扇情的興奮をそそられないのも事実(どっちかと言うと女性好みのスタイルだと思う)。

豹に噛まれた片手がもぎ取られるシーンなどCG以前の手作りによる技法が随所で活躍して大いに楽しませてくれる。中でも豹族が人間の姿から豹に変身するシーンは役者の動作、特殊メイク、暗闇を活用した撮影などが積み重なった結果映画的興奮をもたらす名シーンになっている。個人的にはこのシーンを見てると原作漫画版の仮面ライダーBLACKの変身を思い出すけどね(影響はかなり受けているはず)。

ただ豹族に関する描写を深く描いた結果、原典にあった神秘性が失われB級的な怪奇ホラーになっているのも事実。あと近親相姦による神に近い種族とかいう設定はかえってややこしい印象に与えただけかも、だとすると子孫を残すとき皆それでやってることになるし。あと話の割に二時間は長いな。

それと主人公と動物園の園長が愛し合う設定は良いとして、後半豹に変身しないよう抱くときキンスキーを縛る場面にちょっと興ざめ。好きならば女性を信頼して何もせずプレイするのが話の流れのはずだし、あれやったら女性はその嗜好が無い限り醒めるはずだし。監督がキンスキーにやりたかっただけでは?

変態な主人公の兄を演じるマルコムの怪演も楽しい、こういうキャラを彼がやると東宝特撮作品の博士を演じる平田昭彦のような有無を言わせぬ説得力がある。

ラストのデヴィット・ボウイの曲は好きだけど、音がこもっている仕様になっているのが残念。
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