菩薩

泣く子はいねぇがの菩薩のレビュー・感想・評価

泣く子はいねぇが(2020年製作の映画)
3.6
Filmarksオンライン試写。

企画・是枝氏と言う事でその関連で言えば「そして父になれなかった」男の居場所と存在意義を巡る「家族」とも言い難いファミリームービーと言った感じか。全国放送のしかも生放送のカメラの前を全裸の男が通り過ぎて行った時にその姿を追い続けるカメラマンはいないと思うのでその時点で脚本が死んでるなとは思うが、『生きちゃった』同様典型的日本人男性(優柔不断・他力本願・意思薄弱)をやらせたら太賀の右に出る者はいないし、限りなくすっぴんに近い吉岡里帆の透明感がエグい。何より折坂悠太が劇伴・ED共にめちゃくちゃいい仕事をしている、音楽家・折坂悠太としてこれから先今以上に化けそうである。男性同士・女性同士の時に言葉すらを超越する感情に依るコミュニケーション、他人・世代の間に確実に存在する断絶。故郷を半ば追い出され、逃げる様に出て来た東京にも馴染めず、その2年の間に失われてしまった物と時間的空白を埋めようともがくが、時計が止まっていたのは彼自身のみであり、それ以外の世界はきちんと2年間の時を刻んでいる。ただどうも画面が貧相と言うか「足りない」と感じる部分やオフスクリーンの誤魔化しも散見されるのがちと残念。吉岡里帆の目を潤ませながらの怒りの眼差しを真正面から浴びたい人生だったし、朝ドラでも好演中の古川琴音さんは第二の岸井ゆきの枠をガッチリ確保した。にしても太賀、若い子はなんのこっちゃだと思うが『愛という名のもとに』のチョロが乗り移ってる様にも思える。何より無責任なのは一番育児が大変であろう時期から完全に逃避した事だと思うのだが…そりゃ今更無理だろうし、「これ温かいよ」と渡した飲み物がおしるこて…そう言うとこやぞ。MVPはシロクマです。
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