かつて過ちを犯した男の帰郷という主題、それから人間からどうしようもなく出てくる哀しさと可笑しみ両方を適度な距離感ですくい上げるというカメラの感覚に、マンチェスター・バイ・ザ・シーに近いものを感じた
未熟な主人公視点で進むストーリーの中では、かつての妻が彼を拒絶する理由は明示されない
しかし端々に見える彼の軽さや迂闊さから、決して自覚され得ない幾つものやらかしが積み重なったんだろうなーというのはなんとなく分かっていたたまれなくなる
なまはげという形骸化した伝統行事の仮面の下に、主人公のようやくの決意とかつての妻のわずかな赦しを潜ませたラスト、思わず男としてという言葉を使いたくなるほど身につまされるものがあった
今作でも仲野太賀は好演していたが、吉岡里帆演じる元妻の導入部分での憔悴ぶりと男の帰郷以後の頑なさと強さも、主人公のダメさをさらに裏打ちする上でとても良かった