つエさんの映画レビュー・感想・評価

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ひらいて(2021年製作の映画)

4.1

電子タバコを吸う萩原聖人が素晴らしい

上映終了後、最初に耳に入ったのが女性客の「あの女無理」という言葉だったのだが、それも仕方ない

今作で山田杏奈が演じる主人公・愛は、物語的に理想ともいえるような
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最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

4.4

陰キャデイモンvs.陽キャドライバー、に踏みつけにされるもの

14世紀末、ジャンヌ・ダルクが出てくる1、2世代前のフランスが舞台の実話ベース
ある騎士の妻が陵辱された事件が、当事者同士の対決を通して
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由宇子の天秤(2020年製作の映画)

4.4

ひたひたと感じる恐怖

同時期に公開されている「空白」と同じく"マスコミ・ネットの攻撃性・暴力性"という題材を扱っているのだが、映画全体のトーンは大きく異なる
それは、「空白」が今まさに吹き荒れる災い
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護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)

4.4

いろんな意味で今年、今のタイミングで観るべき映画

物語は2011年3月11日の東日本大震災発生直後から始まる、ある避難所で出会った孤独な老女・寡黙な青年・親を亡くした子供の3人が交流を深めていく様子
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光を追いかけて(2021年製作の映画)

4.3

想定外の着地点

今年公開の「いとみち」と同じく、ネイティブな東北訛りを全編に取り入れて耳が楽しい映画
実りの季節にある秋田の天地、東京からの転校生とミステリアスな少女の出会い、そこに現れる緑の光を放
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君は永遠にそいつらより若い(2021年製作の映画)

4.4

ストローを噛み潰した紙パック鬼ころしのインパクト

原作小説から登場人物やエピソードを絞り込み、主人公・ホリガイとイノギさんの関係性にフォーカスしてシンプルになってはいるが、他者といかに関わるか、他者
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空白(2021年製作の映画)

4.3

奥野瑛太がまさかの天使枠

発端は万引きを疑われた少女の事故死、なのだが物語はその真相-空白-を明らかにするミステリ的展開は取らず、事故直前少女を追っていたスーパーの店長に少女の父親が付きまとい、その
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マイ・ダディ(2021年製作の映画)

3.5

エンドロール終わり、客電が付くまで見届けよう

コメディの色が強いムロツヨシの真面目な主演作
いつもの過剰さが垣間見える瞬間はあるものの、娘が難病に罹り苦悩する父親を好演して主役としての持ちの良さとい
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シャン・チー/テン・リングスの伝説(2021年製作の映画)

4.4

コメダの逆メニュー詐欺のような

MCUがカンフーアクションかーという感じで観に行った
もちろんその期待は高水準で満たされたのだがそれに留まらず、時代劇風あり武侠ものありノワールあり、さらにはファンタ
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モンタナの目撃者(2021年製作の映画)

3.9

傷だらけのアンジー

100分のジャンル映画としてのつくりの良さがありつつ、価値観のアップデートも感じさせる良作

全編通してアンジー演じる森林消防隊の主人公が地味に痛い思いをし続ける映画である
ロー
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べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

3.8

拡張性ありなんじゃ?

阪元祐吾監督の前作「ある用務員」のスピンオフのような作品

前作の、見所であるアクションシーンが集中する終盤とそこへのセットアップでもたついた感のある途中、というアンバランスさ
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白頭山大噴火(2019年製作の映画)

3.7

サービス精神は買えるが

朝鮮半島随一の白頭山噴火というカタストロフに、北朝鮮の核を巡って米中の思惑も絡むポリティカル・スリラー、家族や子供との絆を描くファミリー要素と、120分ちょいの上映時間に韓国
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.6

埋めようもないものを充す物語はいかにして可能か

ひとつの映画のなかに、舞台が出来上がるまでのドキュメンタリー的な要素や恋愛サスペンス的な要素、ロードムービー的な要素と色々なものが詰め込まれているので
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フリー・ガイ(2021年製作の映画)

4.0

スースクと観ればタイカ・ワイティティ二本立て

映画に限らず、ゲームやアニメでも実在しない虚構の存在にこうも感情移入してしまうのは何なんだろうな、という不思議をあらためて感じながら観た

今回はキレイ
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ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

4.4

ラットキャッチャー2は絶対またどっかで見たい!

アクションやヒーロー映画で脇役がやたら印象的な死に様を見せることがよくあるけれど、今作はそういうキャラクターとシーンを集めて一本にしたような映画
アバ
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キネマの神様(2021年製作の映画)

1.5

日本の映画終わってしまうん?

原田マハの原作は未読
北川景子の昭和の大女優然としたビジュアルに期待して観たのだが、ここまでダメさがはっきりした作品だとは思わなかった

物語は、主人公・ゴウを沢田研二
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サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

4.4

青春映画の新しいスタンダードになるような完成度

高校生達を主人公に、時代劇・SF・キラキラ恋愛とあらゆる要素を盛り込んだ青春映画でありながら、映画とはどういうものかという根源的なところにまで踏み込も
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イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)

4.2

観終わってかき氷が食べたくなる

ラテン音楽を使ったパワフルで沸き立つような楽しさを持つミュージカルでありながら、ドラマ部分では舞台となるN.Y.のラテン・アメリカ系移民とその子孫達の、差別や街の転機
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ソウルメイト/七月と安生(2016年製作の映画)

4.4

前半岩井俊二で後半北川悦吏子

対照的な性格ながらも強い愛憎で結ばれたふたりの女性の14年

個人の濃厚な感情を主題にしつつ、背景で中国社会とその中での女性のライフスタイルの劇的な変化を映像として映す
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サイダーのように言葉が湧き上がる(2020年製作の映画)

4.1

夏の夕方に観るとぴったり

郊外のショッピングモールといえば、実写の邦画だと行き止まり・限界の象徴のような場所として描かれていることが多いのだが、アニメの手にかかると極彩色、こうも明るくポップになるも
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少年の君(2019年製作の映画)

4.3

重力下のふたり

中国の学歴社会はここまで苛烈なのかと思わされる作品
話を追って行くとちょっと東野圭吾っぽかったり、いじめがテーマで時折スマホやSNS、防犯カメラの映像が挿まれる同時代的な感覚で去年の
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ファイナル・プラン(2020年製作の映画)

3.7

犬映画です

いかにも過去作に寄せようとした邦題よりも、原題"Honest Thief"のほうがしっくりくる
ド派手なアクション映画を期待すると拍子抜けするだろうが、地味な中にも画づくりの巧みさや演出
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ハニーレモンソーダ(2021年製作の映画)

3.4

特別協力 KIRIN

内気な女の子と学校一人気のある美形男子の恋、というオーソドックスな物語をかなり丁寧にやっていた印象
キーになる台詞やシーンをふたりの間で往還させたり、ふたりの視線の高低によって
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海辺の金魚(2021年製作の映画)

4.1

あやうい関係、絶妙のバランス

海辺にある親と離れて暮らす児童養護施設の子供たちの物語
メインとなるのは一番年嵩の高校生・花と新たに施設にやって来た晴海との関係なのだが、これが友達なのか姉妹なのか、母
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ブラック・ウィドウ(2021年製作の映画)

4.2

スカヨハとフローレンス・ピューの姉妹が最高!

時系列では「シビル・ウォー」後、ソコヴィア協定違反でナターシャが潜伏している時期の話で、謎の敵による襲撃をきっかけにかつての"家族"と共に自らの過去と向
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アジアの天使(2021年製作の映画)

3.7

愛すべきグズグズさとバカらしさ

日韓のきょうだい家族6人がソウルから海辺の町へ向かうロードムービー
基本お互いの言葉が理解できないこの6人の間にあるのはディスコミュニケーションで、そんな人々が劇的な
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ゴジラvsコング(2021年製作の映画)

4.4

映画を年齢に合わせるのでなく、年齢を映画に合わせましょう

IMAX 3Dで鑑賞
冒頭のタイトルバックからしてスポーツ中継のアオリVTRのようで、本編もそれに違わず、今作はゴジラとコングという怪獣界の
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ももいろそらを カラー版(2020年製作の映画)

4.0

差し引き勘定には収まらない余剰

オリジナルのモノクロ版は未見だが、カラーで観てもあ、これはちゃんと白黒でやる意味のある内容だなと感じた

主人公・いずみは新聞を持ち歩き記事の内容にプラスマイナスで点
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いとみち(2020年製作の映画)

4.0

玄関先で手渡される謎の物体

ざっくりいえば周囲と上手くコミュニケーションが取れない女の子の成長物語で、話の運びに何の衒いもなく、着地すべきところにすとんと落ちるとてもストレートな映画なのだが、そこに
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Arc アーク(2021年製作の映画)

4.4

特異な映像で紡がれる特異な物語

加齢による死を克服する技術を最初に経験した女性の物語
不老不死というSF的に大きなテーマを扱いながら、ストーリーは主人公・エマと彼女の周辺の人物に枠を絞って展開される
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夏への扉 ―キミのいる未来へ―(2021年製作の映画)

3.8

SFを成立させる人間力

原作は読んだことはあるのだが、特に最後のほうの展開は全く覚えていなかった
時間の移動、それからアンドロイドが出てくるということでBTTFとかターミネーターを思わせるところも
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ザ・ファブル 殺さない殺し屋(2021年製作の映画)

4.4

高水準アクションにハードボイルドの風味

ボスに休業を命じられ普通の人として暮らす凄腕の殺し屋、今回は過去の仕事での因縁を巡っての顛末

シリーズ最大の魅力であるアクションでは、今回最大の見せ場である
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胸が鳴るのは君のせい(2021年製作の映画)

3.6

キラキラのなかから燃え上がるもの

冒頭から青春キラキラ映画です!と開き直るように、人物の背景に光源を置いたキラキラ画面の連続でちょっと笑ってしまった
しかし、恋愛四角関係の構図が明確になりだす海のや
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クワイエット・プレイス 破られた沈黙(2021年製作の映画)

4.0

シリーズとしての成長を感じる続編

音を感知して襲ってくるモンスターがうろつく世界を舞台にしたシリーズ、前作で父親の死という犠牲を払いながらもモンスターへの対抗策を発見した家族のその後

前回と同じく
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逃げた女(2019年製作の映画)

4.4

説明されない、言葉にされないことの怖さ

表面上は、既婚者の主人公・ガミが旧交のあった知人(全て女性)3人と会い何かを食べながら近況報告も兼ねた身の上話をする、というだけのストーリー
しかし、終始違和
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Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)

4.2

新たなキャラが生み出されるたび、またひとつ壊滅するロシアン・マフィア

もう立派なジャンルの一つになった感のある"ナメてた奴が実は…"というアクション映画、今回は擬態が効きすぎたあまりに、同僚や隣人か
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