chama

泣く子はいねぇがのchamaのネタバレレビュー・内容・結末

泣く子はいねぇが(2020年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

例えば、レイトショーを観るために映画館提携の駐車場に車を止めて映画館に入る、駐車券サービスがあることは知りながらも観終わったあとでいいか、と店員に訊ねるのを後回しにする、シアターを出ると店員はおらず駐車料金1000円をきっちりとられる。
このような生活力のなさ、というか面倒くさがりというのか、な自分は到底親になどなれないだろうな、と日頃から思う。
朝起きて仕事に行くことすらままならない。
そんな自分だからだろうか、「大人になれない大人へ」という言葉となまはげのお面で走る仲野太賀の姿をtwitterのプロモーションで見かけて、この映画を観よう、と思った。

悪気がない、そもそも分かってない、世間や社会を知らない後藤。「もしかして童貞っすか?」と言われたり、離婚して慰謝料も養育費も払ってないにも関わらず「助けになりたいんだ」と言えてしまう、無垢さ無知さ。警察に友人が捕まったら走って逃げ出す、不義理さ。キャバクラの店員に怒号を上げられ店を去る気弱さ。まさに子どもだ。
「会うの最後ね」と言われて、子どもを見るために保育園に潜り込んで、奥さんとその恋人を見て、壇上の子どもたちを見て自分の娘を見つけられない、そこで自分は夫でも父親でもないことを悟ったのだろう。
廃れるなまはげという文化。自分の頭にカメラを載せて迫るなまはげを撮影したり、家の前でなまはげと一緒に記念撮影したり。ラストシーン。新しい父親に優しく抱かれる凪に、腹からの雄叫びを浴びせる。自分は側に居ることができないけど、その資格もないけど、自分が父親だ、と叫んでいたのだろうか。

正直、何を伝えたかったのか、は分からなかった。でもラストシーンを描くためにこの映画はある気がした。
chama

chama