ねぎおSTOPWAR

泣く子はいねぇがのねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

泣く子はいねぇが(2020年製作の映画)
5.0
2020年11月20日、あるレビューを読み、これは行くぞと決意して早一か月。
・・これはすごい!!・・想像を絶する迫力でした。

入れていた情報は・・
①秋田県だけ「鬼滅」が一位を取れなかった(この映画が一位でした)
②どうやら観光だけじゃない、たいがくんのさらにbest映画だと
③なまはげなんだと笑

観始めてね、早速やってくる暗雲・・に次ぐ暗雲・・いやまだまだ暗雲。
正直「えっ・・・」と言葉を失うわし。
「これ、どうやってまとめるの??」と先が心配になりました。

妻のお父さんの牛乳にまつわる話や、夏井さん(ギバさん)がメディアに語る話や、実は妻(吉岡さん)の既に決意しているその怒り(なんの事前説明もない!!)とか、考えてみると結構な前フリ伏線があるんですね。

そしてもうこれでもか!!ってなどん底なわけです。
そこで来る監督の<これでもか!>に泣きそうになってしまいました。

プツッと黒味になりエンドロールなんですが、この男の未来やら、すっごい余韻にうーーーと。
あっそうだ!絶対エンドロールで席立っちゃダメですよ!!
これ、とっておきだと思う!!



さあ、ネタバレを我慢しましたよ。以下、書かせていただきますので、観る気になった方は観てからお読みくださいね。











冒頭にお父さん、「空になったら終わり」みたいなこと(うろ覚えで恐縮です)言っていましたよね。吉岡さんの気持ちも、底の浅いたいがくんの気持ちもこれですよね。
そしてまさかなまはげが現在の社会にとってどんなものになっているかがドキュメンタリーのように描かれていてビックリしました。まさかの存続の危機・・いやいやあの酔っぱらい全裸は本当にあったのか、はたまたいたとして(いたでしょうな!笑)それが批判を浴びることなのか??と。まあこれは象徴なわけで、そんなリスクを抱えた男(たいがくん)に頼らざるを得ないほど追い込まれている夏井さんってことかなと。
結局ピンポンしても断られる現代になってしまった・・。
そして吉岡さんは何もなまはげに行くことを「はあっ??」って言っているんじゃなくて酒なんでしょうな、おそらく。その後の東京での飲み会が示唆しているかと。だから一発レッドじゃなくてイエロー何枚ももらっていたんだろうなって。
そしてあのパチンコってどうなんでしょうね。女子ふたり(余さんと吉岡さん)の再会がそこかい!!・・依存症??いやまさかね。
兄にもほとんど見捨てられている状態の中、あの「運動会」ビデオで、たいが映画初の本笑い!薄笑いはたくさんあったけどね!あの兄弟の笑顔は何を意味していたんだろうなあ・・これはまだ腑に落ちていないです。
まあ、ただここらで何か吹っ切ったんですよね。お面発見も同時でした。
この直前の保育園の浦島さんは泣けたなあ。
たいがくんの目線の描写と子供たちのパン・・それも誰にも停止しないパン。凪どれ???って。頼りがいのありそうな大きな男。その横で元嫁幸せそう。二人は凪を見ている。ああもう敵わねえ・・。

なまはげは子供の幸せを祈るわけです。
すごく遠回りな「泣く子はいねぇが」ってセリフで。


エンドロール後の映像って黒澤明さんのあの「夢」の狐の嫁入りみたいに思いませんでした??
すっごく美しくて、愚かな人間たちを手塚治虫さんの「火の鳥」のように見守るなまはげがそこにいました。

この映画を観る機会をくださったフクイヒロシさんありがとうございました。


<531/57>