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40歳の解釈: ラダの場合のakihiko810のレビュー・感想・評価

40歳の解釈: ラダの場合(2020年製作の映画)
4.2
FYOV = Find Your Own Voice

40歳になる黒人女性ラダはピークを過ぎた脚本家。今は学生に脚本を教える先生をしている。高校時代の同級生がエージェントをやってくれてて、売り出すためにいろんな手を尽くしてくれて、やっと自分の脚本が舞台化されることになるが、お偉いさんに脚本の修正なんかを要求される。人生の限界を感じたラダは、学生に触発されてラッパーになることを思い立つが…。

ラダ役を実際の脚本家・ラダ・ブランク本人が演じる。
本作はとてもいいヒップホップ・コメディ映画だ。
30人生のピークを終え、ちょうどこれからが不安になる年齢。求められる脚本も「黒人の悲惨な話」という「貧困ポルノ」ばかりで芸術性はない。
現状を打破するためにラップに挑戦するが、初めてのライブではうまくいかず…。なんとか舞台の仕事が舞い込んでくるが、駄作を書くはめに…。
「人生なんてそんなもん」という諦念と、「でもそんなんになるもんか」という抗い・挑戦が、ちょうどよくミックスされた脚本だと思った。
脚本家のラダは、恵まれてる、というか世間一般的には「勝ち組」といわれる存在だろう。そういうハイステータスな中での「人生こんなもんじゃない」感を描いた作品だが、なによりラダには、心を寄せてくれる親友や年下のDJがいて、孤独じゃない。孤独じゃなければいいじゃないか、というようなメッセージがあって、とても好感が持てる。

公演初日の脚本家あいさつで、本作はラダは駄作だったと本音をぶちまけ、「FYOV = Find Your Own Voice」とラップを披露するが、社会的な成功だけが人生の目標じゃない、自らに恥じないような生き方をするのだ、というメッセージは万人に刺さるだろう。

ラダ・ブランクという才能に初めて出会ったが、次回作も待ち遠しい期待できる才能だと思う
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