MasaichiYaguchi

ZolaゾラのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

Zolaゾラ(2021年製作の映画)
3.5
2015年にデトロイトの一般女性アザイア・“ゾラ”・キングがツイッターに投稿した計148のツイートと、その内容を元にしたローリングストーン誌の記事を映画化したロードムービーは、性的搾取をブラックな笑いと共に描き出していく。
ウェイトレスでストリッパーのゾラは、勤務先のレストランにやって来た客ステファニと、ダンスという共通の話題を通して意気投合して連絡先を交換する。
翌日、ゾラはステファニから「ダンスで大金を稼ぐ旅に出よう」と誘われ、急な展開に戸惑いながらも一緒に行くことにしたが、それは悪夢のような48時間の幕開けだった。
タンパで割りのいいショーに出演出来るという、仕事仲間ステファニのこの誘いは、実は強面の元締めと存在感が薄いステファニの恋人を伴った売春ツアーだったことが分かる。
売春ツアーからの展開は恐怖と爆笑の連続なのだが、ステファニが元締めに給料を搾取されていることを知ったゾラは新たな“戦略”を考えつく。
その新たな“戦略”に群がる男たちの欲望丸出し、ぎらついた顔や間抜け面、次々に露出される恥部、トラブルによる血潮や札束が舞い、人間の本性が軽快に“陳列”されていく。
強欲で情けない男連中に対し、ゾラは絶対に一線は譲らない気概とプライドを、鋭い目力と行動で示す。
性的搾取をモチーフにしながらも、登場人物たちの強かさを感じさせるストーリーは、ジャニクザ・ブラヴォー監督のスタイリッシュな演出で彩られ、ハープをフィーチャーしたリフレインやエッジィな電子音楽を多用したミカ・レヴィの音楽によって不思議なグルーヴを感じさせます。