梅田

白い暴動の梅田のレビュー・感想・評価

白い暴動(2019年製作の映画)
2.5
クラッシュの映画かと思ってろくに調べず見に行ったんだけど、「ROCK AGAINST RACISM」というムーブメントが英国の排外主義(NF/国民戦線)にどう立ち向かったのか、というドキュメンタリーだった。こんなご時世にぴったりの映画かなと思って観始めたけど、うーむ……どうだろう。果たしてこの映画がいま公開されることにどれだけ意味があるんだろうか。
人種差別はよくない、ナチをぶっつぶせ、人種を超えて連帯しよう、そういう声はこの70年代後半も今も昔も消えることなく燃え続けている。それはとても正しいことだけど、裏を返せば今も昔も人種差別は厳然と存在し続けているということなわけで。では、果たしてこの映画が今どんな人に届くんだろう?と考えると、僕みたいなクラッシュのファンだけなんじゃないのだろうか。んで、クラッシュのファンが観に行くと、「ああ、やっぱクラッシュは最高だな、でもこの映画、ほとんど当時のライブ音源使ってないよな、なんか損したな。あと、人種差別とかありえないっしょ」みたいな通り一遍の感想しか産まないんじゃないんだろうか。映画は「闘いはまだ終わっていない」という文字で終わるけど、そんなことは言われんでも知ってますよという。いや、全体的にイチャモンなのはわかってますが…。
編集もモンティ・パイソンみたいなキッチュなやつで個人的に苦手だったのと、70年代後半からほとんど何も変わっていない問題に対する漠然とした無力感とで、たった84分の映画がやたら長く感じた。

ただ、やっぱジョー・ストラマーは死ぬほどかっこいいし、それなりの音響でクラッシュを聴けたのは嬉しかった。そろそろライブに行きたいねえ。
梅田

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