梅田さんの映画レビュー・感想・評価

梅田

梅田

異人たち(2023年製作の映画)

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映画館で観たときに寝てしまったので、配信でリベンジしたら途中5回くらい泣いてしまった。何だこれ…。ダイナーでドリンクが3つ運ばれてくるところでもうダメだった。何がどう良かったのかとか全然言葉にできない>>続きを読む

ルックバック(2024年製作の映画)

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少し前まで住んでいたあたり(東北芸術工科大学付近)がめちゃくちゃそのまま描写されていて何だかむずむずした。
良かったけど、ちょっと劇伴が感傷的すぎるかなと思った。良かったけど、そこまで自分にぶっ刺さっ
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フェラーリ(2023年製作の映画)

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『フォードvフェラーリ』的なスポ根はどこにもなく、モノづくりの狂気と芸術みたいなモチーフも中心にはない。中年の不倫ドラマのどろっとした空気感に肩透かしを食らったのが正直なところだけど、ラストで理由はよ>>続きを読む

バティモン5 望まれざる者(2023年製作の映画)

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ひどすぎて逆に寓話に見えてしまう。これある種の比喩でしょさすがに? いやしかし、世界にはこういう現実もきっとあるんだろうなぁ。
団地の中で棺を担ぐシーン、窓からマットレスや家財を次々に外に放り投げるシ
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チャレンジャーズ(2023年製作の映画)

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観てる最中は「何だこれ!?」と思い、観終わった瞬間に「何なんだこれは!?」と思った。
音楽もカメラワークも何でこんなことになってるんだ訳わかんねぇ、というこの感覚はギャスパー・ノエの『CLIMAX』を
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蛇の道(2024年製作の映画)

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ジュリエット・ビノシュばりにパリの街に佇む柴咲コウ。もはやアルファベットのクレジット「Ko SHIBASAKI」だけでカッコいい。
めちゃ面白かったし黒沢清の本領発揮っぽい瞬間もあるけど、Vシネ版を観
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関心領域(2023年製作の映画)

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先に観た人の感想を見ると「退屈だった」という意見もまぁまぁ目について、それにはけちょっと共感する一方で、予想以上に映像面でエキセントリックだった。赤外線カメラみたいな映像も何じゃこりゃだったし、終盤の>>続きを読む

マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

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『FURY ROAD』があまりに神格化した評価を集めたせいで忘れがちだけど、このシリーズには、それこそトム・クルーズの近作のような、純化された活劇の喜びと荒唐無稽なB級映画の楽しみとが完璧に共存してい>>続きを読む

マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015年製作の映画)

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3回か4回目くらいの鑑賞だけど、やはり観るごとに面白く感じるような気がする。
プリクエルが作られたことを念頭に観ると、フュリオサがジョーに「私を覚えてる?」と発するシーンが何だか複雑に響く。覚えていな
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ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

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公開時、なんか意外に評判が良かったことを記憶していたけど、実際に観てみるとまぁ、大した映画ではないにしろけっこう普通に面白いという。はい。しかしこの手のコメディはストリーミングサービスの安い字幕で観る>>続きを読む

ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)

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タルコフスキーが映画館で見られるというので。予告編ではとにかくゆっくりズームイン/アウトする、あるいはカメラが並行移動するロングショットが強烈に印象に残るが、実際に観てみると(会話の内容はさておき)身>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

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もともと100分くらいの映画だということをインプットして観に行ったので、冒頭の静かなシークエンスが続くと「このペースで時間使っていってストーリー語る時間あるのか?」とか考えてしまったんだけど、振り返っ>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

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過去の思い出とどう折り合いをつけるか、そして微妙な関係の男性どうしがどうやって接するのか、みたいな感情の機微がすごく良く撮られていて、ラストで思わず落涙。アーサー(ジョン・マガロ)がめちゃくちゃいい男>>続きを読む

ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版(2000年製作の映画)

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長い長い1カット目のあとの2カット目みたいなショットが見られるだけで最高である。この闇を歩いていく長回しには初っ端から感動してしまった。
かと思いきやその2カット後、巨大トレーラーが轟音をたてて横切っ
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グランツーリスモ(2023年製作の映画)

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ゲーム出身のレーサーが活躍する実話を元にしたストーリーってかなりの変わり種を想像して観たら、けっこう普通に熱血スポ根の王道物語であった。トントン拍子。映像はかなりデジタルでブロムカンプって感じだけど、>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

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かなりバッドコンディションで観に行ったら案の定前半めちゃくちゃ寝てしまったが、後半から真面目に観ただけでも信じられないくらい面白かったので(そう、普通に面白いんです)、大満足。
とか言いつつ、後からあ
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

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良くも悪くも事前にあまりにノイズが多かった作品だけど、観終えた直後の感想としてはこれまでのノーランのキャリアハイでは? 実際、賞レースや興行の成績を見ても客観的にそうなんだろうけど。原爆投下に至った前>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

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『スリー・ビルボード』『ゴーン・ガール』みたいに脚本の魅力が輝く映画であることは確かだけど、それ以上に、演者の気迫や音や反射の光の演出、印象的な雪と血の配色など隅々まで隙のない素晴らしい作品だった。そ>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

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祝・アカデミー視覚効果賞ということで、せっかくならと映画館に行ったら結構人が入ってて、しかも結構"ゴジ泣き"している音が聞こえてきた。
まぁまぁ期待して見に行ったけど、期待していた程度には満足しました
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うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984年製作の映画)

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『うる星やつら』自体にはじめて触れたのですが、押井作品として云々の前にラムもしのぶもかわいすぎんか。これもっと多感な時期に見てたら大変だった気がする。

ストーリーは今や無数に参照されているものだけど
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

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よくデザインされた気持ちのいい大作だったが、何か「スケールのでかいものを見たなぁ」という感想以上に残るものがあったかというと…うーん?
原作がそうなのだと言われるとそれまでだけど、色々拍子抜けするくら
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

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「大谷翔平がすごいのはいいけど俺たち野球ファンが見たいのは選手じゃなくてベースボールなんだよ」みたいなこじらせ方(真っ当な意見であり、不適切なアナロジーです)をした中年男性のミッドライフ・クライシスも>>続きを読む

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

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大袈裟な劇伴や大仰なPTSD描写など野暮ったいところはあるけど、アルドリッチ『特攻大作戦』みたいな熱さで押し切られて楽しみました。友情や絆がテーマだけど、主演2人の間にあるのはあくまで任務に紐づいた関>>続きを読む

ラストエンペラー(1987年製作の映画)

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贅沢な美術と衣装もすごいけど、撮影と編集の連動が気持ち良すぎ。ベルトルッチの凄みを感じる。特に、宮廷内での動線とカメラの動きが素晴らしすぎて魅入ってしまった。あるいは、シーツの下で2人の婦人と絡み合う>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

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昼飯を食べて眠気を感じながら観始めたのに、第一幕のイカれっぷりで完全に目がギンギンに冴えてしまった。少なくとも表面的には面白さのピークはここ。何一つ音を出してないのに「うるせえ」とブチギレてくる隣人、>>続きを読む

ロビンソン漂流記(1954年製作の映画)

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ブニュエルの変わり種。今見るとかなりバカバカしい出来で、なんというかコントを見せられてるような気分になる。反乱を起こした船員が、捕虜になってからクルーソーとダラダラ一緒に走り回ってるのが笑える。今ふと>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

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期待を裏切らない三宅唱監督の新作。PMSとかパニック障害とかある種のメンタルヘルス、もっと広く言えば「生きづらさ」的な題材を取り扱った映画ではあるが、そういったモチーフに寄りかかることなく、人と人との>>続きを読む

ショーイング・アップ(2022年製作の映画)

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面白い!鳩の看護をしつつ自らの個展の準備をする美術家の主人公の数日間を通して、人間関係を中心に、家族や隣人、同僚とのちょっとモヤった状況を描くというこぢんまりとした映画。一定の緊張感があって終始飽きな>>続きを読む

JACO(2015年製作の映画)

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正直名前しか知らない人だったけど、ジョニ・ミッチェルとかウェザー・リポートでベース弾いてたのね! ミュージシャンのドキュメンタリーとしてはベタな作りだけど、自分のように知識のない人も入り込みやすい映画>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

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いやもうほんと、40年前の作品とは到底思えないくらい精細な映像と素晴らしい録音(整音?)。大スクリーンで観ると、サポートプレイヤーたちの完璧な演奏も、リン/エドナのキュートなコーラス&ダンスも、そして>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

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引退撤回作となった今作の主軸はラブストーリー。お互いの名前より先に犬の名前を尋ねるのはいい締めだと思った。
カウリスマキが労働の光景を撮るとき、そこには現状への告発的な何かも無くはないが、同時に必ずユ
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ヘカテ デジタルリマスター版(1982年製作の映画)

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青と緑の画面、ほとんど流れない劇伴が特徴的に映画の統一感を作ってる。ストーリーはほとんど無く、ただ外交官の男が謎の女に骨抜きにされるだけという。それでも目を離せないのは主演2人の存在感ゆえか。面白かっ>>続きを読む

ワイルド・アット・ハート(1990年製作の映画)

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なんじゃこりゃ! 初めはどうなることかと思ったけどちゃんとボニーとクライドしてる。というか『トゥルー・ロマンス』の先取りのような。
リンチらしいといえばらしいけど、まだ真っ当な劇映画の範疇にあって結構
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

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ベラ(エマ・ストーン)は大人の身体を持った子供として存在し、心は世界に開かれながらも家の中に閉じ込められている。外の世界に怯えているのはむしろ男性→ゴッド(ウィレム・デフォー)で、父のように冷酷に科学>>続きを読む