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アカーサ、僕たちの家のtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

アカーサ、僕たちの家(2019年製作の映画)
3.3
ドキュメンタリー。
 
ルーマニア、大都市に隣接するバカレシュティ湖、20年来湖畔の小屋で文明生活を排した暮らしをしているエナケ一家(両親・子供9人)湖畔一帯を国立公園にするため行政の介入が入り彼らは街に移住することになった。

街へ移住後の父親の太りっぷりに比べて母親のげっそり具合よ……(40㌔無いらしかった)
多分父親は何も(家事も仕事も)していない。
湖畔生活では家族のボスだったが、移住後は"口先だけの親父""いつまでも夢ばかり"と子供から揶揄され反抗される(当たり前や……とも思う)
 
彼らはロマ族らしい。
街の生活に適応する子供、学習障害が明らかになる子供、湖畔の生活に戻りたがる子供。
子供の学習能力と共に両親含め衛生観念がかなり欠如しており、掃除という習慣が無いのか、洗剤を買う行為そこから意識が無いらしい。

現代の感覚だと移住前の生活は完全にネグレクト。
幼い子供は疑問を持たなかったろうけど、魚を街に売りに行っていた10代の子は、明らかな環境の違いから疑問と不満を抱えてそうだった(移住後それは父親との不和・決裂という形で表面化)

この父親、かなりあかん性格なのでは……という片鱗は湖畔生活の時の言動から見えてはいる。おまけに「このどうぶつ何?」と子供が福祉の人から貰ったばかりの絵本を楽しそうにしているのに「こんなもの必要ない」と火に投げ込んで燃やしてしまう。
子供の知的好奇心を満たすどころか潰す父親。

親はいいけど、子供には最低限、学校へは行かせるのが"子供達のため"だったと思う。
それをしなかったのは単なる親のエゴでしかない。 
本来なら受け取れる筈だった様々なものを、子供達はどれだけ取り零してしまったんだろう。

親がそう意図していないものの明らかなネグレクトを見せられてキツかった。