実際に起こった埼玉祖父母殺人事件を参考に作られた本作。
秋子は子ども達のことが大好きなんだろうな、と思いました。
ただ根本的な所が欠如しすぎているのと、家族愛とは少し違った愛に感じました。
一般的な家庭と比べると余りにも偏った生活ではあったけど
秋子は必ず子どもたちの元に帰ってくる。
そして子どもたちも同様に、どんなに過酷な生活を送ろうとも母の元に帰っていく。
周平にとって自分の世界の中心はいつだってお母さんだった。
故に、秋子は自分が周平に愛されている絶対的な自信があった。
周平に至っては変わろうと思えば幾らでも変われる分岐点が散りばめられていて
時に母へ反抗する仕草も見せはするけど
周平には母を傷つける事はできなかった。自分の優先順位はいつだって最後だった。
母を守るのは自分しかいなくて、母は自分がいなきゃだめなんだ、と。
そして母である秋子にも変われる分岐点は無数に設置されていた。
だけど秋子は人に定められたレールを歩くのを拒み、助けられることを心のどこかで拒み続けていた。
同情されたい訳じゃない、愛されたいだけなんだと。
なんとも悲しいお話ではあったけど、作品としては非常に好きです。